日本の高度経済成長期は上場企業の経営も安定していました。同時に終身雇用制度の導入も始まり、バブル期の日本経済はかつてないほど好景気となり、雇用も安定しました。

しかしバブル崩壊後、徐々に日本経済は衰退し始め、令和に入り新型コロナウイルスの影響により景気は後退し、企業の業績が悪化しています。上場企業であっても、赤字経営が避けられない状況となり早期退職制度を活用、最悪リストラまで行い人員整理した企業も出始めています。

先行きが不透明な中で、早期退職・リストラは他人事でない状況になりました。経営状況が悪化した企業は経営基盤を見直すべく、社員に早期退職・リストラを促す可能性が今後益々増えるでしょう。

この記事は、早期退職やリストラの違い、退職金の有無やメリット、さらには働き方の見直しまで解説します。

特にミドル世代の会社員が、今後早期退職・リストラの対象になった場合の具体的な対応策をお伝えしますので、参考にしてください。

この記事の監修:勝田健氏
スタートアップ企業に特化した転職エージェントに従事。大手VCと連携し、累計約100名のCxOポジションに紹介実績あり。転職エージェント歴22年。スタートアップ業界の豊富な人脈(VC・起業家・CxO)と知見が強み。個人の「WILL」をベースとしたキャリア支援実績は累計2000名以上。スタートアップ企業の採用支援経験を活かし、自らも複業(結婚相談所・採用コンサルティング・新規事業起ち上げ支援)を実践。幅広い業界・サービスのビジネスモデルを熟知。

記事の目次

早期退職とリストラの違い|退職金がもらえるのはどっち?

早期退職とリストラの違い|退職金がもらえるのはどっち?

早期退職とリストラは定義が異なります。

ここでは早期退職とリストラの定義を解説するとともに、その違いや退職金に対する考え方について説明します。

早期退職とは

早期退職とは、会社が定めた定年を迎える前に退職することを指します。

早期退職の目的は2つです。1つは会社を早期に退職し、自分の生き方を尊重したい従業員に対する支援、もう1つは会社の業績悪化に伴う人員整理や組織の再編成を目的としたものです。

入社後にすぐに退職してしまう早期退職(早期離職)は自己都合退職となり、前述のミドル世代が会社都合により退職する「早期退職」とは定義が異なるので注意が必要です。

リストラとは

解雇には、「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇」があり、リストラはこの中の「整理解雇」にあたります。つまり従業員が会社に不利益などを与えたのではなく、会社側の都合による人員整理のための解雇です。

業績悪化を自社の努力だけでは防げないと企業が判断し、人員整理で事業の立て直しを図るための施策です。

なお、人員整理だけでなく、配置転換も含めた人件費の削減や、業務効率化など、会社の事業の縮小化による部門再構築もリストラに含まれます。

早期退職とリストラの違い

早期退職とリストラとの大きな違いは、会社の制度として設けているか否かです。

早期退職は従業員の意思で早期退職制度を利用し、今後の人生を選択するもので、雇用する企業にとっては雇用調整の意味合いがあります。

一方、リストラは整理解雇だけなく配置転換、転籍などの意味合いもあり、人件費削減を主な目的としています。リストラは解雇と思われがちですが、会社が希望退職を募り、退職する整理解雇もリストラ手法の1つです。

退職金制度を設けるのは会社側の判断なので、早期退職やリストラで必ず退職金がもらえるとは限りません。退職金の有無は退職後の生活設計に大きく左右するので、勤めている会社の退職金制度を確認することが大切です。

新型コロナウイルスが早期退職やリストラに与えた影響

コロナ禍で赤字経営に陥った会社は、早期退職を募り、雇用調整で経営難を凌いでいるのが実情です。

以下の東京商工リサーチ株式会社の調査によると、ここ数年で早期退職を募集している企業の業種が変化しつつあります。

コロナ禍になる前の2019年度は、「電気機器」の業種が全体のおよそ3割を占めていました。それに対し、2021年度は「アパレル・繊維製品」が「電子機器」とほぼ同等になっています。

2021年度の50社のうち、約7割に当たる34社が最終赤字でした。早期退職・リストラ人員が1,000人以上の大型募集は3社(日本たばこ産業、KNT-CTホールディングス、LIXIL)です。

コロナ禍が長引くほど、今後も早期退職・リストラを決断する会社も増える可能性があります。

早期退職・リストラの対象になりやすい人の7つの特徴

早期退職・リストラの対象になりやすい人の7つの特徴

コロナ禍が長引くほど、早期退職やリストラを勧告する企業も増えると予想されます。また業績が好調な企業でも、企業を存続させることを考慮し、早期退職者の募集やリストラを視野に入れるかもしれません。

では、どのような人が早期退職・リストラの対象になりやすいのでしょうか。対象になる人には次の7つの特徴が見受けられます。

上司に言われたことだけをやる人

上司に言われたことだけをやる人、つまり上司の指示以外の業務には興味を示さず、新しい仕事に取り組まないチャレンジ精神のない人は早期退職やリストラの対象になりやすい傾向があります。

特に後輩に仕事を任せきりのミドル社員は、単調で簡単なルーティン業務を繰り返して逃げ道を作り、他の仕事での失敗を極端に嫌います。

上司の指示待ちという受け身の姿勢は、スキルの向上にはつながらず、積極性に乏しい社員と見なされる可能性も。また仕事に対する積極性がないと判断される前に、会社に貢献している姿勢を見せることが大事です。

優柔不断で優しすぎる人

優柔不断で優しすぎる人も早期退職やリストラの対象になりやすいようです。自分の意見を持たない、他人の目を気にする、周囲の意見に流されるなど、意志の弱いイメージを持たれる可能性があります。

仕事をやり遂げるという強い意志を持たない社員は上司や同僚から仕事を任せられないと判断されるため、自分の業務を終わらせた後、他人をフォローしていく対応を心掛ければ改善します。

中高年だからとのんびり生きている人

複雑な仕事は若い社員に任せ、自分は簡単で楽な仕事を請け負い、就業時間が無事に過ぎれば良いという考え方を持ち、自分の仕事以外には見向きもしない人も早期退職やリストラの対象になる危険があります。

中高年だからと「のんびり生きていれば無事に定年を迎えられる」という考えを持っているため、会社にとっては貢献度が低く、生産性がない人と見なされてしまいます。

中高年の社員は部下や後輩に指導、助言する立場です。今一度、自分の立場を振り返り、会社にとっての自分の役割や労働による社会的貢献の観点から、仕事の意味を捉え直すことが必要です。

変化に対応できない人

会社のIT化に追いつかない、自分の過去の実績のもと仕事の方法を変えないなど、変化に対応できず孤立してしまう人です。

過去・現在・未来も仕事のやり方は手段が変わっても、基本は変わっていません。手動が自動に変わっているだけです。

アナログがデジタルに変わっただけと気持ちを切り替えれば、今までの経験も活かせ、職場のコミュニケーションも増えます。

仕事をサボりがちな人

やるべき仕事をサボり、就業時間中も仕事とは関係ない雑談などを繰り返し、納期が近づいてから仕事を始めるという仕事と休憩を区別できない人も会社から不必要と判断されてしまう可能性が高くなります。

自分ができなくても誰かがやってくれるだろうという楽観的な考えも持っています。

このような人は上司から仕事の遂行能力が低く、責任感のない社員と判断されるため、相手の立場になって真摯に仕事に取り組む姿勢を持たなければなりません。

単独行動が多い人

自分の仕事のやり方を貫き、上司の指示に従わないなど単独行動が多いため、職場のチームワークを乱し、組織的な行動を嫌う人になります。

協調性がなく人間関係にトラブルを引き起こし、上司は仕事を頼みづらくなります。

また単独行動や独断での仕事は、小さなミスでも最終的には上司や同僚も知らない間に職場全体のミスにつながりかねません。

仕事は自分でするものという認識を改め、チームで仕事をすればより効率的になると理解し、ミスを最小限に抑えることが必要です。

真面目に仕事をやらない人

提案書や報告書の内容に誤字・脱字や、まとまりのない文章を作成するなど真面目に仕事をやらない人は、上司や同僚に無駄な作業を発生させてしまいます。

データに信憑性のない提案や報告は、会社の信頼を損ねる可能性もあります。

真面目な仕事ぶりとは、誠実で嘘、偽りのない仕事を積み重ねることだと再認識し、ミドル社員としての自覚を持つことが大切です。

早期退職・リストラのメリット

早期退職・リストラのメリット

早期退職・リストラのメリットは「退職金の上乗せ」「仕事から解放され自由になれる」「失業給付金が早く、長くもらえる」ことです。しかし、退職は今後の生活設計に関わる大きな決断です。次の3つのメリットをよく理解された上で決断してください。

退職金が割増される場合がある

退職金は会社の就業規則の規定で、金額が決められているのが一般的です。

早期退職は会社都合退職のため、退職金が割増される場合があります。一方、リストラは会社が期間を限定して希望退職を募るもので、条件によっては割増の退職金を受け取れます。

ただし、会社に規定が定められている早期退職は「会社都合による退職」のため、割増退職金をもらえる扱いです。一方、リストラは希望退職を期間内に決めるため、早期の自己判断を求められます。

早いうちから自由な時間を得られる

早いうちから自由な時間を得られることで、健康で体力のある間に第二のキャリアをスタートできます。今まで仕事に費やしてきた時間を、今後は自分らしい人生を歩むために使えます。

自由な時間の例としては以下の通りです。

  • 趣味に時間が取れる
  • 旅行に出掛けることで家族と過ごす時間が増える
  • 今後のキャリアに向けた資格取得のための勉強時間ができる
  • 転職先を検討する時間ができる

失業保険を早く受け取れる

退職後も働く意思のある人は、失業保険を早く受け取れるメリットもあります。失業保険受給期間中に転職活動もでき、ハローワークなどで情報収集もできます。

すぐに転職活動を再開できずとも、職業訓練校で新たに専門知識を身につけ、転職を有利に進めることも可能です。

また退職前の給与全額ではなく、前職の給与の何割かを受け取れます。日常生活を維持しながらやりたいことが見つけられる時間の余裕ができ、精神的にも安定することもメリットです。

早期退職・リストラのデメリット

ここからは早期退職・リストラのデメリットを紹介します。退職金が割り増しされたり、失業保険が早く受け取れたりするメリットがある一方で、早期退職・リストラには主に以下の3つのデメリットがあります。デメリットも理解して後悔しない行動をとってください。

  • 再就職できない場合がある
  • 貯金や資産が不足する場合がある
  • 年金受給額が減る可能性がある

再就職できない場合がある

引用:令和3年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省

上図は、男性の令和3年の年齢階級別入職率および離職率です。20歳から24歳の若年層の入力率は38%と高い割合を示していますが、40歳になると7.4%、45歳になると6.4%と10%を切る割合になっていることがわかります。

40歳を超えてからの再就職が厳しい現実は、早期退職のデメリットといえるでしょう。何の対策や準備をせずに「自分は6.4%から7.4%のなかに入ることができるだろう」と見込んで早期退職するのは、ややリスクが高いといえます。特に再就職を機に、仕事が多い都市部から地方に移住すると、思うように仕事をが決まらないケースがあるため、注意しましょう。

貯金や資産が不足する場合がある

早期退職・リストラに際して綿密な資金計画を立てたとしても、事故や病気といったイレギュラーなケースが発生したり、再就職したものの仕事を続けることができなかったりすると、貯金や資産が不足する可能性があります。

セミリタイヤして悠々自適な生活を送るつもりが、資金計画が行き詰まってしまい、あわてて再就職先を探すも見つからない、という事態も十分にあり得るのです。人生計画は、いくら入念な計画をしていても計画通りに進むとは限りません。

「先が読めない」「確定しない」ために資金面の対策がしにくい点は、早期退職のデメリットです。早期退職・リストラに際して「資金がある」という一点のみで決断するのは、リスクが高いといえるでしょう。

年金受給額が減る可能性がある

年金額が早期退職で削減されるのは、高齢厚生年金への加入期間が短縮されるからです。

早期退職すると企業に所属していないことになるため、高齢厚生年金への加入資格が失われます。

例えば45歳で早期退職・リストラを選ぶと、その時点で高齢厚生年金から離脱し、年金への未加入期間(45歳から60歳まで)が生じます。これ以降、高齢基礎年金のみの加入となるため、受け取る年金が減ってしまうのです。

早期退職を検討する際には、将来の公的年金が減少する可能性があることをふまえて「いかに大きな経済的損失が発生するのか」を調査しておくことをおすすめします。

早期退職・希望退職は拒否することができる

希望退職制度とは、従業員が自発的に退職することを会社が募集する仕組みです。

希望退職制度は人員の調整を目指して実施されることが多いため、リストラの前段階と見なすことができます。

ただし希望退職の場合はリストラと異なり、従業員の自己決定が最優先され、会社からの退職強制は存在しません。希望退職の対象者になった場合「退職しなければならないのか」と感じるかもしれませんが、希望退職は拒否することが可能です。

しかし、希望退職に応じないという選択も、可能である点は認識しておきましょう。また希望退職を拒否して会社に残った人は、他部署に異動になる、給料が大幅に減る、といった厳しい状況になることもあるようです。

法律上誰でも拒否が可能

希望退職の募集は基本的に、企業が労働者に対し労働契約を終了するかどうかを尋ねるものです。労働者が希望退職を希望して企業側が受け入れれば、労働契約の終了が成立すると解釈されます。そのため希望退職に際しては、労働者の意思表示が必要です。もし企業が強圧的な態度で希望退職を促したり、事実と異なる情報を伝えて労働者を誤解させたりした場合は、民法第96条の規定により、強迫や詐欺を理由に契約終了を取り消せる可能性があります。

万が一、希望退職を拒否したことでリストラされた場合は、法律の専門家に相談したほうがいいでしょう。

早期退職・希望退職せず残った人の処遇

希望退職を選ばずに残った人々からは、かなり厳しい意見が聞かれます。収入減だけでなく、これまでのキャリアとはまったく関連のない単純労働部署への異動や、社内での視線の変化、あるいは自分の部下が上司に昇格するといった出来事により、仕事のモチベーションが低下する人もいるようです。

確かに、そのような状況はストレスが溜まり、働きづらいと感じるかもしれません。しかし、これらの困難な時期こそ、自分のキャリアパスを再考する絶好のチャンスと捉えることもできます。

「人生100年時代」と言われ、仕事をする人生が50年以上続くと予測されています。企業の定年はあくまで制度ですが、自身のキャリアの終わりは自分自身で決定するものです。

企業に残ることを選んだとしても、いつかは退職するときが来ます。再度のリストラの可能性も否定できません。

そのため、たとえ不条理で士気が低下する職場環境であっても、生活の維持の観点からその状況を受け入れつつ、この機会を利用して「自分のキャリアを真剣に見直し、次の行動を考えるべきタイミング」と捉えることが重要です。

早期退職・リストラ後のキャリアプラン

早期退職・リストラ後のキャリアプラン

早期退職・リストラ後のキャリアプランはいくつか候補を持っておきましょう。

今まで培ってきた経験や実績、スキルなど総合的に判断し、今後やりたい仕事とマッチしているか、過去の実績に捉われず新たに挑戦するかは自由です。

早期退職・リストラを受け入れる前に、今後のキャリアプランを考え、準備しておくことが大切です。

次にキャリアプラン構築に失敗しないためのポイントを3つにまとめました。

希望する業種に転職する

ミドル世代の転職は即戦力となることを期待されます。そのため、自分が転職先として希望する企業から評価される明確なスキルやキャリアを提示し、転職する意思を明確にしておくことが大切です。

まずは転職サイトや転職エージェントに登録し、求人を探すところから始めましょう。

希望する業種が明確であれば、応募する企業の情報収集をしっかり行い、有利な条件で転職活動を進められます。

長く続けられる副業を視野に入れる

一定の業種、分野で得たスキルや実績を重ねたミドル世代のキャリアプランの1つの選択肢として、副業が注目されています。特に在宅ワークであれば、今の環境を変えずに新しい環境にチャレンジできます。

ミドル世代が副業を選ぶポイントは3つです。

  • 継続できる
  • 簡単に始められる
  • 短時間で作業が終わる

また、厚生労働省が2018年に発表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を参考に新しい働き方を検討することも1つの手です。

ただし、企業によっては未だ副業を認めていない会社もあるので、勤めている会社が副業を認めているかどうか就業規定も見ておきましょう。

独立・起業する

独立・起業することも新たなキャリアとして視野に入れてもいいでしょう。

独立とは主に個人事業主として開業することを指しますが、副業という働き方も含みます。一方、起業とは法人として会社を立ち上げ、新しく事業を始めることを指します。

ビジネスを成功させるには自分のビジョンを持つことが大切です。前職でのキャリアや実績が生かせる、やりたい仕事を始めたいなど自分の資質ややりがいをよく考えてから行動するといいでしょう。

起業するには法人登録や時には広告費など法人の維持費がかかりますので、事前に勉強しておかなければなりません。

ライフシフトラボジャーナルでは、『早期退職のその後|3つのキャリアプラン、注意点まで解説』として早期退職した人のその後のキャリアプランを紹介しています。ぜひご一読ください。

早期退職・リストラ対象にならないための3つのポイント

早期退職・リストラ対象にならないための3つのポイント

今のコロナ禍の時代、中小企業だけでなく上場企業であっても、経営状況によっては早期退職・リストラを検討、実施する企業が増えても不思議ではないのです。

会社から給料をもらう従業員は職を失いたくはありません。早期退職・リストラ対象者から外れる努力をしましょう。

ここでは、早期退職・リストラ対象にならないための3つのポイントを紹介します。

積極的に業務に挑戦し実績を作る

会社では同じ仕事を繰り返すルーティン業務を確実、迅速に行うだけでなく、従来とは異なる新しい仕事につく状況もあります。新しい業務であっても積極的に挑戦し、実績を作ることが自己アピールとなることを考えておきましょう。

ルーティン業務は新入社員でも慣れればできる仕事です。実績とスキルのあるミドル世代は、自分の業務スタンスを見直し、何事にもチャレンジすれば、会社に認められ、必要な人材と判断されます。

そして今まで以上にスキルアップもでき、仕事に対して更なる自信につながります。

若手の社員の声に耳を傾ける

若手の社員の声に積極的に耳を傾けない人も要注意です。

これからの時代を担う若手の社員の声に耳を傾けることも大切です。シニア世代は先輩社員として積極的にコミュニケーションをとり、考え方の違いを認めないと距離を置かれます。

大切なのは、過去の自慢話はせず、仕事のやり方を無理強いしないことです。

上司が早期退職・リストラ対象者を選ぶ場合、若手社員の教育、指導ができない社員もリストに上がります。自分の仕事が完璧でも、若手の社員の育成に尽力しない人は会社の貢献度が低いと判断される可能性が高いのです。

ミドル社員が若手社員から信頼され、慕われる職場は活気があるため、人間関係も良好で、

仕事を前向きにできます。

最新のスキルを自ら学習し現場で活かすことを意識する

最新のスキルを自ら学習し、現場で活かすことを意識して日々努力することも大切です。

会社の業務効率化の目的で、働き方改革と連動し、ITツールなどを積極的に導入し、業務改善を目指す企業が増えています。変化を嫌い、現状の仕事のやり方に固執する人は会社では不要と判断されるのです。

自ら率先して、さまざまなスキルを習得し会社に貢献することが必要な人材と認められます。

上場企業でもリストラ?|早期退職やリストラの事例3選

中小企業だけでなく上場企業においてもリストラが増えています。

その主な要因は新型コロナウイルスの影響による景気の落ち込みで業績が悪化したためで、今後もリストラを加速する可能性は否定できません。この「赤字リストラ」に対し、業績悪化がない場合でも、将来の経営を見据えた「黒字リストラ」もあります。

今や企業の現状の業績だけでリストラを判断する時代は過ぎ、企業内部の構造の再構築を考えたリストラも増える可能性があるということです。

ここでは上場企業の早期退職やリストラの事例を紹介し、リストラが起きている事実に目を向けてみましょう。

パナソニック(電機メーカー)

電機業界の大手であるパナソニックは、大胆な人事改革に着手し、ミドル世代の管理職を中心にリストラを強化しています。

パナソニックは以前からロートル人材(年配社員)の増えすぎ、企業の変革を損なう人材として問題視していました。このような背景からミドル世代である50~55歳の社員は早期退職者のターゲットになり、事業体制の見直しという目的で人員整理されます。

ミドル社員の自律的なキャリア形成の支援という名目を掲げていましたが、実質は若手人材の抜てきによる世代交代であり、リストラでした。

富士通(IT)

IT分野の大手である富士通は、IT企業からDX(デジタルトランスフォーメーション)企業への変革を実現させるため、50歳以上の幹部社員を対象に希望退職者を募り、人員整理しました。

DX化とは、デジタル技術を活用したイノベーション(技術革新)へのチャレンジにより、人々の生活をより良いものへ変革化させることを指し、富士通は社員のDX人材への転換を目標に掲げました。

従来の「人を雇用し、育成し、その人に適した配置」というメンバーシップ雇用から「業務ありきの人材の発掘、業務遂行」というジョブ型雇用を導入するため、人材刷新の観点からミドル世代の幹部社員を焦点にした人員整理です。

この変革により社員ごとに求められるスキルや行動を改め、社員が果たすべき職務と評価の明確化という新たなスタイルの仕事のやり方に見直しています。

ホンダ(自動車メーカー)

ソニーグループと提携したホンダは、ミドル社員を対象としたリストラを断行しました。

リストラの目的は、業績好調で余力のある間に人員を削減し、ミドル社員から若手社員への世代交代を一刻も早く進めておくことです。

自動車業界はガソリン車から電気自動車への転換や自動運転化を求められている中で「構造改革」と「戦略投資」を進めるため、ロートル人材の増加をリストラで刷新したのです。

早期退職・リストラ対象にならないためのおすすめの3つの行動

早期退職・リストラ対象にならないためのおすすめの3つの行動

早期退職・リストラ対象にならないためには、会社に有能な人材と証明しなければなりません。若手社員からも人望があり、会社や社会のルールを守り、自分の存在感を持つ社員でいることが重要です。

今の時代、会社の定めたルールの中で決められた仕事だけをやる社員に価値観を見出す企業は少なくなっています。

ミドル世代は特に会社から厳しい目で見られていると理解し、早期退職・リストラ対象にならないためのおすすめの3つの行動をとることが予防策になるでしょう。

ニュースなどに目を通し、社会の変化を理解する

ニュース番組や新聞などに目を通し、社会の変化を理解し、先取りしておく必要があります。

会社に貢献しなくても淡々と仕事をすれば将来も安泰という考えは通用しない時代であるという事実を知り、今の立場を再認識することも大切です。多くのミドル世代を抱えた企業にとって、大規模なリストラは経営基盤を確保するための重要な施策です。

時代の変化を常に把握し、どのように対処するべきか考えておきましょう。

自分の市場価値を知っておく

今の市場価値を知っておくことが大切です。会社でのポストは自分の市場価値ではありません。

市場価値の高いミドル世代とは、経営や組織運営というマネジメント能力が高い、または現場でのスペシャリストを指します。

今の自分の市場価値を知るには、職場での経験、スキル、実績または人脈などを認識しなければなりません。

また会社に貢献する仕事の遂行、後輩への的確な指示、若い社員への教育や指導なども会社の貢献度を高める大事な要素です。会社にとって利益をもたらす社員は企業にとって貴重な存在です。

単に資格の多さや長期間勤めているだけでは会社へのアピールポイントにはなりません。

早期退職を検討するよりも、まず副業でジョインできる仕事を探してみる

今の会社一筋で勤めてきたミドル社員は、早期退職を検討するよりも、まず副業でジョインできる仕事を探してみてはどうでしょうか。

コロナ禍の今、副業解禁の企業も増えています。副業解禁で先行きが不透明な情勢を考慮しているなら、本業に併せて副業を検討、実行するのも一つの手です。外出自粛が続く状況では在宅ワークも人気が集まっています。

早期退職後のキャリアプランを検討する以前に、まずは副業でジョインできる仕事を探すなど発想の転換が必要です。その検討の1つとして「YOUTRUST」も視野に入れれば、チャンスも広がります。

「YOUTRUST」はSNSを活用して同僚や知人を通じてセカンドキャリアと出会える新しい転職活動です。

そしてジョインできる副業か判断しておくことも、早期退職・リストラへの対処法ともいえます。

まとめ

新型コロナウイルスの拡大によりライフスタイルは変化し、各企業も変革を余儀なくされています。経営悪化をたどる企業は軒並み増え、黒字経営でも社員をリストラする企業もあります。ミドル世代が一企業で希望する年齢まで勤め上げるのは困難な時代になりました。

また、この状況が改善されるのも時間がかかるでしょう。そして今勤めている会社も決して安泰とはいえません。会社がいつ経営方針を見直すか分かりません。

ワークスタイルを考えないと、近い将来、早期退職・リストラのリストに上がる可能性もあります。

今や早期退職・リストラは他人事ではないのです。それまでに今一度、会社で積み上げた実績やスキルを更に伸ばし、市場価値を高めておくことを忘れないでください。

突然の退職勧告でも慌てることのないよう、しっかりとした自己防衛策を取る必要がある時代になってきたのです。