急速に発達するデジタル技術によって社会が急速に変化する今、求められるスキルも急激に変遷し、「リスキリング」という言葉を目にする機会も増えてきました。

リスキリングはスキルの再取得を意味し、社会人としてさらにキャリアアップしたい人だけでなく、自社の従業員のスキル向上を目指す人事担当者からも注目されています。

この記事では、リスキリングとはどういったものか、その目的やリスキリングで学ぶべきスキルについて詳しく解説します。

記事の目次

リスキリングとは|何を学ぶのか?

リスキリング(Re-Skilling)とは、スキルの再習得を意味します。

これまでのスキルをブラッシュアップするのではなく、これまでとは異なる仕事に就くために、新たなスキルを身につける意味で用いられることがほとんどです。

ここではリスキリングの定義や目的について詳しくみていきます。

経済産業省が定めるリスキリングの定義

経済産業相が2021年2月に公表した資料によるリスキリングの定義は以下です。

『新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応るために、必要なスキルを獲得する/させること』

引用:経済産業省「リスキリングとは ―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」6ページ

リスキリングで何を学ぶ?

ではリスキリングで何を学べばよいのでしょうか。ここからは従業員からみた「学びたいスキル」と企業からみた「学ばせたいスキル」をそれぞれみていきます。

個人がリスキリングで学びたいスキル

エン・ジャパンが行った調査によると、個人がリスキリングにおいて「学びたい」スキルの上位3つは、「動画編集」「語学」「プログラミング」でした。

出典:「リスキリング」についてアンケート調査(エン・ジャパン株式会社)

各年代別にみると、20代がリスキリングで学びたいスキルのトップは「動画編集」で48%と約半数に上っています。

30代では「WEB制作」が42%と4割を超えており、40代以上では「語学」が1位でした。

各年代ごとの学びたいスキルをみると、若い世代ではデジタルに関わる仕事へのニーズが高いことがわかります。

同調査によると、リスキリングをしたい以下のような理由が挙げられました。

  • 仕事の幅を広げるため
  • 新しい仕事に就くため
  • 待遇の良い仕事に就くため

企業がリスキリングで学ばせたいスキル

ここからは「企業がリスキリングで学ばせたいスキル」をみていきます。

株式会社manebiが行った、国内企業500社に対して「リスキリング」の実施状況に関するアンケートによると、リスキリングを社員に対して行っている企業は、52.6%で半数を超える結果となりました。

出典:PRTimes「リスキリングを実施している国内企業は約5割。データ分析、セキュリティーなどDXの基礎教育が大半に」

どのような分野のリスキリングを実施しているかという質問に対しては、データ分析や情報セキュリティ、ITリテラシーなど、デジタル技術に関するものが多い傾向が読み取れます。

出典:PRTimes「リスキリングを実施している国内企業は約5割。データ分析、セキュリティーなどDXの基礎教育が大半に」

個人が「学びたい」スキルと企業が「学ばせたい(学ばせている)」スキルを比較すると、プログラミングや動画作成(編集)が一致するものの、上位では一致するものがない結果となりました。

企業が「学ばせたい(学ばせている)」分野はすなわち「人材が不足している」分野という考え方ができそうです。これからリスキリングで新たな学びを始める場合は、企業が「学ばせたい」と考えている分野を学ぶと、仕事につながりやすいのではないでしょうか。

リカレント教育、OJT教育、アンラーニングとの違い

リスキリングと似た意味で使われる言葉に、以下のようなものがあります。

  • リカレント教育
  • OJT教育
  • アンラーニング

ここからは、リスキリングと上記の3つの言葉が意味するものの違いについて、詳しくみていきます。

リスキリングとリカレント教育との違い

リカレント(recurrent)」とは、「繰り返す」「循環する」という意味を意味する単語です。

厚生労働省によるとリカレント教育は『学校教育からいったん離れたあとも、それぞれのタイミングで学び直し、仕事で求められる能力を磨き続けていくための社会人の学び』と定義されています。

引用:リカレント教育|厚生労働省

また、経済産業省では『リカレント教育は「働く→学ぶ→働く」のサイクルを回し続けるありよう』としており、学んだ内容を、仕事で生かしながら改善のサイクルを回していく点も内包された定義になっています。

引用:経済産業省「リスキリングとは ―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」7ページ

以上をまとめると、リカレント教育は、学校を卒業して社会に出た後も、必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返していくことです。

リスキリングとOJT教育との違い

OJT教育とは「On The Job Training」の単語の頭文字を取った言葉で、先輩が後輩に対して実践を通して業務に関するスキルや知識を教えることをいいます。

OJTは基本的に新入社員を育てる際に用いられる言葉です。

リスキリングはある程度社会人、ビジネスパーソンとしてのキャリアがある人に使われる言葉であることから「学ぶ人」が異なります。

リスキリングとアンラーニングとの違い

アンラーニングとは「Un-learning」と書き、これまで学んだことを捨て(忘れ)、新たに学ぶことを指す言葉です。

リスキリングはこれまでのキャリアや経験について「捨てる」ことに、言及していません。

これまでのキャリアをさらに高める学びもリスキリングには含まれることから「過去の学びをどうするのか」という視点において、アンラーニングとリスキリングは大きく異なります。

リスキリングが必要とされる3つの理由

リスキリングが必要な背景には、急速に発展するデジタル技術によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の進行が挙げられます。DXの進行により、人間に求められるスキルが変化している他、労働環境も急速に変化しています。

求められるスキルの変化

DXの進行により、データ活用スキル、デジタルツールの活用スキル、戦略実行スキルの3つのニーズが高まっています。

データ活用スキルはDXが進む今、あらゆる企業でも教育が行われるほか、大学にデータサイエンス学部が設置されるケースも増えてきました。急激に発展するデジタル技術により、あらゆる産業がデジタル技術によって変革を遂げ、膨大なデータが蓄積されるようになりました。膨大なデータを活用して分析や自動化が行われるようになり、データを活用するスキルのニーズが高まっているのです。

また、データ以外にも、進化を続けるデジタルツールを使いこなし、生産性を高めるスキルも求められています。現在、多くの企業ではインターネット経由で簡単に利用できるサービス(SaaS)を活用する事例が増えてきました。メールを代替するコミュニケーションツールだけでなく、ドキュメント管理や、経費生産など、あらゆる業務がオンラインで完結できる時代が近づいています。だからこそ、デジタルツールを使いこなし、より効率的に業務を行えるスキルが求められています。

また、インターネットを通じて、気軽にサービスを提供できるようになり、社会の変化のスピードも早くなっています。外部環境の変化に対応しながら、迅速に戦略を立案し、実行しながら変化に合わせて企業を変革できるスキルもニーズが高まっています。

転職者の増加、スキル志向の高まり

デジタル技術の発展により、社会が急激に変化する中、人材の流動性が高まり、従来の日本に定着していた終身雇用の考え方が崩壊しつつあります。転職者が増加する中、その企業でしか生かせない固有のスキルではなく、社会の中でニーズが高いスキルを得てキャリアアップを考える人が増加しています。

この傾向は特に若年層に著しい傾向があり、1社で長く働いてきた40代以上のミドルキャリア世代は、活躍の場を広げきれないというケースも少なくありません。

スキル志向が高まる中、自社の従業員のスキルを見直し、企業の競争力の強化を図るべく、リスキリングの注目が高まっているといえます。

海外におけるリスキリングの動向

アメリカAT&T「ワークフォース2020」

2022年5月にリクルートワークス研究所が公表した資料によると「アメリカ史上もっとも野心的なリスキリング」とされるのが「AT&T」社の「ワークフォース2020」です。

2013年にスタートした「ワークフォース2020」により、2021年時点での同社のリスキリングの実施人数は、21万人に達しました。

リスキリングに参加する従業員に対し、参加しない従業員と比較して高い評価や報酬を与えるなどの施策が行われたとのことです。

具体的に行われたのは、以下です。

  • 2000に上るジョブタイトルを整理・統合し、スキルと紐づけ
  • 年功序列の是正、将来必要なスキルと評価の紐づけの実施
  • 従業員が自分のスキルの測定や学習の進捗管理を行う社内プラットフォームの提供
  • 従業員へのウェブ開発、データ分析、プログラミング、コンピューターサイエンス等のオンラ

イン学習コースといった学習素材の提供

  • 従業員が社内の就業機会やそのポストに就くために必要なスキル、各ポストの賃金範囲等の情報を得られるキャリア開発支援ツール「キャリアインテリジェンス」を提供

参考:リスキリングをめぐる内外の状況について リクルートワークス研究所 9ページ

同社の従業員数が約25万人であることから、8割を超える従業員のリスキリングを行ったことになります。

10億ドルもの予算をかけたことから、「AT&T」社のリスキリングにかける本気度がわかりますね。

その結果、同社では社内技術職の多くを社内異動で充足できるようになりました。

大規模な予算をかけたリスキリングを会社主導で行ったことによって、外部に人材を求める必要がなくなり、未来の事業に必要な人材を自社内で確保することに成功したわけです。

世界経済フォーラム「リスキリング革命」

2020年1月の世界経済フォーラムでは「リスキリング革命」と題して、2030年までに世界の10億人により良い教育やスキル、仕事を提供することを目指す、としました。

リスキリングは日本だけではなく、世界的な取り組みにすでになっているのです。

裏を返せば世界を俯瞰してみたとき、求められるスキルをリスキリングによって身につけることができれば、グローバルに活躍できる人材になれるチャンスといえます。

同フォーラムにおいて発表された「仕事の未来に向けた準備イニシアチブ」(リスキリングにおいて企業や個人が率先して行うべきこと)は以下です。

  • 組織と仕事のデザインの変革
  • 新しいテクノロジーとスキルの連携
  • 健康と幸福を育む
  • 人間中心のリーダーシップの構築
  • 従業員のエコシステムの保護

この中で個人で取り組みやすいものは「新しいテクノロジーとスキルの連携」です。

主にデジタルやIT領域において進む技術革新に適応し、スキルや知識を提供できる人材になることが求められるでしょう。

リスキリング専用のプラットフォーマーの活用

リスキリングを企業で導入する場合は、ゼロからシステムを構築するのではなく、リスキリング専用のプラットフォームを利用する方法があります。

海外では自前でリスキリングのシステムを用意するのではなく、プラットフォームを利用するのが一般的です。

リスキリング専用のプラットフォームは以下のような構成になっています。

  • 将来必要なスキルと現在の従業員が持つスキルを可視化する
  • 両者のギャップとそれを埋めるプロセスを明示する
  • 学習コンテンツを推奨する
  • 学習に伴走する

今後は、日本国内でもリスキリングプラットフォームが成長していくかもしれません。

国内におけるリスキリングの動向

ここからは日本国内におけるリスキリングの動向について、どのような取り組みが行われているのかをみていきます。

岸田首相がリスキリング支援に注力

2022年10月12日付けの日本経済新聞によると、岸田総理大臣は働く人の学び直し(リスキリング)の重要性を考えるシンポジウム「日経リスキリングサミット」に出席した際、『人への投資を企業経営の中核に据え、リスキリングへの取り組みを進めてもらいたい』と述べており、日本政府もリスキリングに注目していることがわかります。

あわせて政府の支援策として、これまで3年で4000億円としてきた人への投資関連の政策を5年で1兆円に拡充する方針を表明しています。

国を挙げてリスキリングへの支援が行われ、経済界に対して人への投資が促されたことにより、今後ますますリスキリングの気運は盛り上がっていくと思われます。

経済産業省による「デジタル時代の人材政策に関する検討会」の開催

経済産業省が主導する「デジタル時代の人材政策に関する検討会」は、第1回の会議が2021年2月に行われました。

リスキリングを検討する人材として、「DXの加速化を担う人材」「デジタルネイティブ人材」の2つが挙げられました。

出典:経済産業省「第1回 デジタル時代の人材政策に関する検討会 デジタル人材に関する論点」4ページ

「日本リスキリングコンソーシアム」の発足

2022年6月、国や地方自治体、企業など49の参画団体から構成する日本リスキリングコンソーシアムが発足しました。

日本リスキリングコンソーシアムは、国や地方自治体、民間企業などが一体となり、地域や性別、年齢に問わず日本全国のあらゆる人材のスキルを、現在そして今後の社会/ビジネス環境が求めるものに“アップデート”する活動に取り組んでいます。

さまざまな企業による教育/トレーニングプログラムの提供や就職支援、副業(複業)・フリーランス・アルバイトなどの幅広い就業機会の提供など、パートナーシップの輪を広げ、全国の人々が学び続ける機会創出を目指しています。

ライフシフトラボ・ジャーナルを展開する「株式会社ブルーブレイズ」も参画しています。

「日本リスキリングコンソーシアム」の具体的な利用法は以下です。

  1. 無料の会員登録を行う
  2. 学びたいトレーニングを探す
  3. トレーニングを受講する
  4. 受講したトレーニングを記録する
  5. 学んだスキルを生かす
出典:日本リスキリングコンソーシアム

上記5つの項目を何度も繰り返すことによって、より深いリスキリングを行えるようになっています。

また希望者には、就職支援サイトを紹介してくれます。2022年11月時点で200以上のプログラムが用意されており、いつでも受講が可能です。

企業が従業員のリスキリングを推進するメリット

ここからは、企業が自社の従業員のリスキリングを推進する具体的なメリットをみていきます。リスキリングという「人への投資」を行うことで企業はどのような効果が得られるのでしょうか。

業務の効率化・生産性の向上につながる

リスキリングは、業務の効率化や生産性の向上に繋がります。

リスキリングを通して時代にあったデジタルスキルなどを得ることで、デジタルツールを使いこなせるようになれば、今まで行っていた非効率な作業が大きく効率化されるでしょう。

企業文化と社風を継承しながら成長できる

企業文化や社風を継承しながら企業が成長できる点もリスキリングのメリットの1つです。

近年では、転職する人口が増加を続けていますが、新しく人を採用しても、企業文化や社風の違いが生まれ、軋轢が生まれてしまうことも少なくありません。

リスキリングでは、自社に長く勤めている従業員に対して教育機会を提供することも多く、企業文化や社風を継承しながら、企業全体の成長を後押しできます。

リスキリングは「これまでのやり方を変える」ための学びではありません。自社の従業員をリスキリングすることによって、本来の自社の強みや文化や社風を生かし、成長させることが重要です。x

採用コストの削減につながる

リスキリングは採用コストの削減にも繋がります。転職する人口が増加する今、新しく人を採用するにも、少なくない金額のコストがかかります。

必要なスキルを持った人材を新しく採用するのではなく、社内で育成することができれば、新たに人を採用するコストを割く必要がなくなります。

また、自社の従業員が活躍することで、採用ブランディングの強化にも繋がり、採用効率の向上も見込める他、自社の従業員に対して積極的に教育機会を提供している姿勢は、採用候補者から魅力的に映る可能性もあります。

特に自社の従業員が活躍し、輝かしい実績をあげたり、メディアなどに露出することで、自社の採用ブランディングを強化できるといえます。

個人がリスキリングに取り組むメリット

ここからは個人がリスキリングに取り組むメリットをみていきます。世界的なリスキリングの潮流にのって「自分に合うリスキリング」の方向性を見極めましょう。

スキルアップにつながる

リスキリングによって自分のスキルアップにつなげることができます。リスキリングで重要な視点は新しいスキルを得るだけでなく、今まで培ったスキルや知識も合わせて活用し、相互作用を生むことです。

新しいスキルを得るだけであれば、新卒などの若年層でも可能ですが、今までの幅広い経験を合わせて新しいスキルを得ることで、自分にしかない価値を発揮しやすくなります。

キャリアの選択肢が拡大する

リスキリングによって将来的なキャリアの選択肢を増やすことができます。将来の自分のキャリアを考えたとき「必要なスキル」を身につけていけば、それだけキャリアの選択肢は増えます。

リスキリングは何か一つのスキルを身につけただけで終わりではありません。常に変化に対応して、学び続けましょう。

技術的失業への対策ができる

リスキリングによって、技術的失業を回避できる可能性が高まります。技術的失業とは、技術が進歩したことによって雇用が失われることをいいます。

たとえば、ファミレスをはじめとする飲食店の配膳スタッフの仕事は、配膳ロボットに代替していくことも予想されます。スーパーのレジの方も同様に、お客さんが自ら会計をするシステムが導入されれば、レジ打ちスタッフの仕事は減ります。

しかし技術の進歩や社会の変化に適応し、リスキリングによって常に新しいスキルや知識を身につけることを続けていけば、技術的失業に対するリスクを軽減できるのです。

自社でリスキリングを推進する5つのステップ

ここからは、自社内で従業員のリスキリングを推進する際の5つのステップを順に紹介します。これから従業員のリスキリングを検討している人事担当者は、参考にしてください。

従業員のスキルの可視化

従業員のリスキリングを行う前にまず「従業員がどんなスキルをもっているのか」を可視化し、現状の理解を進めましょう。なぜなら「リスキリングで従業員にどのようなスキルを身につけてもらうのか」を把握する必要があるからです。

会社を上げてリスキリングを行う場合は「何が会社にとって利益になるか」を明確にしてから取り組まなくてはいけません。そのために「現状のスキル」の把握が必要なのです。

事業戦略に基づき、習得すべきスキルの決定

従業員のスキルの可視化が終わったら、事業戦略に基づいて「どのようなスキルが必要か」「不足しているスキルは何か」を洗い出します。

「スキルの過不足」を把握することで「リスキリングで学ぶべきスキル」が明確になるでしょう。「リスキリングで学ぶべきスキル」が明確になったら、次は以下のことを決めます。

  • どのスキルを
  • どの年齢層の従業員に
  • 何人に
  • どのくらいの期間で

コスト面や継承のしやすさ、現状の事業と並行して学ぶ従業員の負荷を見極め、リスキリングの対象となる従業員を決定しましょう。

教育プログラムの決定

自社で必要とはいえ、仕事を抱える従業員に「さらに学んでほしい」というのは難しいこともあるかもしれません。

リスキリングの教育プログラムの最初は、従業員に「リスキリングのメリット」をわかりやすく伝え、理解を得ることです。リスキリングによって新たなスキルや知識を得ることが会社のみならず自身の成長につながることを理解してもらえれば、従業員も積極的にリスキリングに取り組んでくれるでしょう。

また、教育プログラムを受ける上で、評価に反映できる制度も取り入れることで、さらにモチベーションを持って、従業員が学習に臨んでくれるでしょう。

また、リスキリングを進める上で資格の取得の奨励も効果的です。必ずしも、資格を取るだけでスキル化に繋がるわけではありませんが、ニーズが高い分野では、さまざまな資格が展開され、効果的なカリキュラムが設定されているケースも多くなっています。

リスキリングの結果を、リスキリングを受ける社員以外のすべての社員にわかりやすく伝えるためにも「資格」をとってもらうことも有効です。

学習環境の整備

従業員にリスキリングしてもらう際には、リスキリングしやすい環境を整えることが求められます。

なぜならリスキリングによって取得したスキルを自社で活かしてもらうためには「リスキリングしたあとに社員が退社(退職)せずに自社で仕事を続けてくれること」が不可欠だからです。

リスキリングにおける学習環境の整備では、主に以下のことが必要です。

  • リスキリングの時間をどのように確保するのか
  • 就業時間外にリスキリングを行う場合の手当の支給
  • リスキリングに必要なツールや資料の提供
  • リスキリングの進捗管理

従業員の仕事の負荷とリスキリングの負荷のバランスが悪くなりすぎないように、かつリスキリングの対象ではない社員がいたとき、不公平感が出ないようにすることが求められるでしょう。

習得したスキルを実践できる場の提供

従業員がリスキリングによって新たなスキルや資格、知識を獲得したとき、すぐに実践できる場を提供することも不可欠です。

新たなスキルを活かす場が自社内に用意されていない場合、従業員のモチベーションが下がってしまったり、転職されてしまったりする可能性があるためです。

社内異動をしやすいように社内公募の制度を取り入れたり、必要に応じて、新しく部署を立ち上げるなど、「学んで終わりではない環境」をつくる意識が大切です。

リスキリング導入時に必要な3つのポイント

ここからは、会社を上げてリスキリングを導入するとき、必要なポイントを3つに絞って紹介します。

会社の理解とサポート体制の整備

会社としてリスキリングに取り組むにあたり、経営陣の理解と従業員のサポート体制の整備が不可欠です。

なぜなら経営陣の理解がなければ、想定通りのリスキリングを行うことができません。

また十分なサポート体制がなければ、従業員がリスキリングに真剣に取り組まない可能性があるためです。

経営陣がリスキリングに理解を示さなかった場合、リスキリングの計画にコストをかけることができず「机上の空論」で終わってしまうでしょう。

リスキリングを行う従業員に対するサポートが十分でない場合は、リスキリングの修了とともに退職してしまうかもしれません。

そのため、リスキリングを会社として実施するにあたっては経営陣の理解と従業員への十分なサポートが不可欠なのです。

従業員のモチベーションが維持できる仕組みを構築

リスキリングの実施においては、従業員のモチベーションが維持できる仕組みを構築する必要があります。

なぜなら「会社が必要としているから」という理由だけで、従業員に学びを求めるだけでは意欲をもって従業員がリスキリングを行うことはできないからです。

従業員自らもリスキリングに対して、確かなモチベーションを持つことができるような仕組み作りが求められます。

具体的に考えられる仕組みは、以下です。

  • リスキリングに取り組むことそのものに対する評価をする
  • リスキリングによって得たスキルや資格に対して一時金や昇給、昇格といった評価をする
  • リスキリングによって得たスキルや資格を活かせる業務を提供する

従業員がリスキリングに前向きに取り組み、かつ会社として長期的に利益を上げられる仕組みを構築しましょう。

PDCAをまわしながら継続的に実施

リスキリングを導入すれば、想定した人材が育つとは限りません。

PDCAを回しながら継続的に人材を育成していく必要があります。

なぜならリスキリング導入当初は、手元に「成功事例」がないため「何をどうすればリスキリングによって自社が求める人材が育つのか」といったノウハウがないため、想定通りにいかないことがあるからです。

まずは少人数にリスキリングを行ってもらい、学びの途中経過や修了などのタイミングでレポートを作成してもらい、改善点を探るといいでしょう。

国内企業のリスキリング導入事例5選

ここからは、日本国内で従業員に対するリスキリングを導入している企業の事例を5例、具体的にみていきます。自社で参考にできる事例がないか、みておきましょう。

三井住友フィナンシャルグループ

三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)では、2021年3月から「SMBCグループ全従業員向けデジタル変革プログラム」と題したリスキリングを導入しています。

対象は、全社員で5万人に上ります。

同社のリスキリングの目的は、全社員がDXの素養をもち、ビジネスのあらゆるシーンでデジタルを活用する文化をつくることです。

10分ほどの動画によるオンライン講習で、30本以上、合計5時間におよぶコンテンツが用意されているとのこと。

出典:学びで新たな価値創造へ——SMBCグループが取り組む「お客さま本位」のデジタル人材育成 | Udemy Business

動画で自己学習を行ったあとは体験型のワークショップ研修、それが修了すると継続学習アプリによる継続学習、というようにリスキリングがひとつのシステムとして成立していることが特徴です。

「やっただけ」では終わらせず学びの「インプット」のあとに「アウトプット(体験、社内SNS、広域化)」の場を提供することでリスキリングの成果が、会社と従業員全員にわかりやすい仕組みができています。

あおぞら銀行

あおぞら銀行はデジタル人材の育成を主とした目的で、全社員を対象にリスキリングを2021年3月から行っています。

開始早々、全社員にメールで「デジタル関心度サーベイ」という名称でアセスメント(評価・査定)を行ったとのこと。

出典:イノベーションにつながるDXを目指して、あおぞら銀行2000人の挑戦 | JDIR

デジタル企画部によって用意されたのは以下の3つのコースでした。

  • デジタル人材/スタンダードコース
  • デジタル人材・アドバンスコース
  • デジタル人材育成/マネジメントコース

デジタル人材/スタンダードコースは全社員を対象とし、デジタルやITに関する基礎的な知識を身につけることを主眼としたものです。

デジタル人材/アドバンスコースはさらに高度なデジタルやITの知識を身につけるもので、より高度な資格の取得を目指しています。

対象者は公募によって集められ、社員自らの意思を尊重したものでした。デジタル人材育成/マネジメントコースは経営陣を対象にしたものでした。

あおぞら銀行のリスキリング事例からは、対象とする社員の分け方を学ぶことができます。

「会社が社員に対して求めるスキル」については、全社員を対象とし、より高度な知識やスキルを身につけたい社員に対しては、そのスキルや知識を学べる環境を提供しているのです。

「基礎的なデジタルスキル」において全社員を対象としたことで、リスキリングの機会を平等に提供し「不公平感」をなくしたことも注目に値するでしょう。

富士通株式会社

DX企業への転換を図る富士通では、社員教育のための投資を従来よりも4割増やして社員にリスキリングの機会を提供しています。

具体的には、学びのポータルサイト「FLX」を開設し、社員が学びやすい環境を整えました。「FLX」にはデジタルの先端スキルを学べる教材コンテンツが9,000以上用意されています。上司が認めれば業務中も利用でき、終業後の学習は残業扱いとなり、学びやすい仕組みが構築されています。

2022年4月には「ジョブ型雇用」制度を導入し、約60職種、5段階で定義したうえで「FLX」でそれぞれのジョブに必要なスキルやおすすめの教材がわかるようになっています。ポストの社内公募も増やしました。

富士通のリスキリングの特徴は、社員の自主性を重んじつつも、学び、成長できる環境と身につけたスキルを生かす場を社内で提供していることです。

リスキリングがアウトプットまですべて社内で完結するため、スキルアップ以外に人材の流出を予防する効果も期待できるでしょう。

また社員ごとに「目指すジョブ」を決めて取り組むことが可能なことから、モチベーションを高く保ったまま学習を進めることができそうです。

株式会社日立製作所

株式会社日立製作所では、2022年7月に人工知能(AI)を駆使したリスキリングを促すシステムを導入することを発表しました。

米リンクトインが提供する16,000の講座や、英語を含む10言語の学習プログラムを受講できる「学習体験プラットフォーム(LXP)」というシステムを導入します。

2019年からすでに始まっているグループを横断するデジタル専門研修は、基礎編をすでに10,000人が受講しています。

一方でリスキリングを導く管理者層の強化という課題も抱えているとのこと。

管理職層へのリスキリングはどの企業にも共通する課題かもしれません。

自社に合った管理職層へのリスキリングをどのように行っていくのか、先行する企業の事例を参考に見極める必要がありそうです。

大阪ガス株式会社

大阪ガス株式会社では、キャリアアップを支える人材育成施設・制度が整っています。

PTA(Personal Tutor Adviser)制度は、入社3年目まで社員1人にPTAとよばれる先輩社員が指導役としてつき、社員の成長をサポートする仕組みです。

また大阪ガスネットワークで社内資格制度を設け、業務や講習を通じてガスに関するさまざまな知識を身につけることができます。

研修を専門に行う「技能開発センター」で、体系的に業務に必要なスキルを学べる環境が整っているのです。

大阪ガスのリスキリングにおいて特筆すべきなのは、自社業務に特化したリスキリングを行っていることです。

同業他社に人材が流出するリスクはゼロではありませんが、社内資格制度を設けていることから、リスキリングの結果に対する評価も適切に行われているといえます。

すでに組織全体で、リスキリングを含めた人材育成システムが完成している事例といえるでしょう。

外資系企業のリスキリング導入事例4選

AT&T

AT&T社がリスキリングに取り組んだきっかけは2008年に行った社内調査でした。25万人の従業員のうち約10万人が「10年後には失われる」といわれる仕事のスキルしか持ち合わせていませんでした。

AT&T社が行ったリスキリングの最初の内容は、以下です。

  • 2020年までに必要なスキルセットを特定する
  • 現状のスキルから移行するための構想を練る

構想を練ったことで2013年には「ワークフォース2020」がスタートしました。

「ワークフォース2020」の目的は、2020年までに10億ドルものコストをかけて10万人の従業員のリスキリングを行うことを目指すものでした。

具体的な内容は、以下です。

  • リスキリングを促進し、社内の人材異動を円滑にするための環境整備を行う
  • 従業員のキャリア開発支援ツール「キャリアインテリジェンス」を提供する
  • オンラインの訓練コースを開発し提供する
  • 従業員のためのワンストップ学習プラットフォーム「パーソナル・ラーニング・エクスペリエンス」を提供する

AT&T社のリスキリングが成功したポイントは、リスキリングすることで従業員が得られる結果を明確にしたことです。

「何を学べばどのような職を得られるのか」を従業員にわかりやすく伝え、従業員が自ら学ぶ体制を作ったことでAT&T社は、社内の技術職の約8割を社内異動によってまかなうことに成功しました。

Amazon

2021年9月にAmazonは従業員向けの教育・技能訓練プログラムに12億ドルを拠出することを決定しました。

Amazonのリスキリングプログラム「Upskilling 2025」では以下の4つのプログラムが展開されました。

  • 「Amazon Technical Academy」
  • 「User Experience Design and Research (UXDR) Apprenticeship」
  • 「Machine Learning University」
  • 「AWS Grow Our Own Talent」

正社員だけでなく期間従業員も参加できるプログラムがあるため、Amazonに関わる仕事をするすべての人にリスキリングの機会が与えられています。

ウォルマート

ウォルマート社は2016年にリスキリングのために多額の投資を行いました。自分が持つスキルを向上させる取り組みのほかにも新たなスキルを身につけられるトレーニングも実施しています。

対面での教育のほか、オンラインでのウェビナーやVRを活用した教育プログラムを提供したことで従業員の学びへの意欲を喚起するなどの工夫も取り入れられています。

学ぶことへの意欲が低い従業員がいる可能性を見越して、取り組みやすい学びのプログラムを作成した点は、他の企業と大きく異なるといえるでしょう。

VRを通した疑似接客体験の実践的なトレーニングを行ったことで、従業員のパフォーマンスが向上したというデータが公表されました。

日本マイクロソフト

日本マイクロソフト株式会社は、2021年7月に総合人材サービス、パーソルグループのパーソルイノベーション株式会社と協業する形で従業員のリスキリングをスタートさせました。

具体的には、パーソルイノベーション株式会社から提供される法人向けオンラインコーチングサービス「学びのコーチ」をリスキリングのプラットフォームとして活用する、とのことです。

日本マイクロソフトにおけるリスキリングのプログラムは、以下の3つです。

  • 「学びのコーチ Microsoft Skilling Partner プログラム」
  • Microsoft「スキルチャレンジ」と「学びのコーチ」の協業
  • Microsoft キャリアマップの共同研究・開発

これまで紹介した他社のリスキリングと大きく異なる点は、協業する会社と「学びのコーチ」の存在です。

現在のキャリアをさらに高めるにしても、新たなスキルを身につけるにしても先導してくれる「コーチ」がいれば、学びがよりスムーズに進むでしょう。

国のリスキリング支援と取り組み|補助金が出る制度も

日本では国をあげてリスキリングを支援する取り組みがあります。なかには補助金が出る制度もあります。

ここからは、日本における政府主導のリスキリング支援の取り組みと補助金について解説します。

人材開発支援助成金

厚生労働省では「人への投資」を促進する企業を支援するため「人材開発支援助成金」制度を設けています。「人材開発支援助成金」とは、『事業主が労働者に対して訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度』です。

令和4年10月からは制度の見直しが行われ、申請しやすくなりました。

「人材開発支援助成金」の支援を受けられる主な「人への投資」は、以下です。

  • ITやデジタル分野で即戦力となる人材を育成したい
  • 高度デジタル人材 ・ 高度人材を育成したい
  • オンラインの定額受け放題サービスで効率的に訓練を受けさせたい
  • 労働者の自発的な学び直しの費用を支援したい
  • 労働者の自発的な学び直しのための時間を確保したい

従業員に対する上記のようなリスキリングのニーズがある場合は、支援を受けられる可能性があります。

まずは条件に該当するかどうか、調べてみましょう。

事業内職業能力開発計画

厚生労働省によると事業内職業能力開発計画とは、『雇用する労働者の職業能力の開発及び向上を段階的かつ体系的に行うために事業主が作成する計画』のことです。

自社内で従業員にリスキリングを体系的に行うための計画の作成をサポートしてくれます。

職業能力開発促進法の第十一条において事業内職業能力開発計画の作成が事業主の努力義務となっています。

計画策定の手順は、以下です。

(1)企業の経営方針や理念に基づき、当該企業において求められる人材像や能力要件を明確化

(2)人材の育成方針を定め、これらを踏まえた雇用管理方針の下に、従業員に対する職業能力開発の体系図と計画を策定します。

引用:事業内職業能力開発計画 |厚生労働省

自社でリスキリングの計画を行う場合は、この「事業内職業能力開発計画」の手順にしたがって策定するとよさそうです。

以下が厚生労働省の「事業内職業能力開発計画」作成の手引きを一部抜粋したものになります。

出典:「事業内職業能力開発計画」作成の手引き 7ページ

「とにかく従業員に何か学ばせないと」と闇雲に動くと、想定通りにリスキリングの結果が得られず、徒労に終わるかもしれません。まずは人材育成のための方針を固め、計画書を作成し開発計画を立てたのち、助成金を得て、従業員のリスキリングを行いましょう。

職業能力開発推進者の選任

自社でリスキリングを行うにあたっては、責任者を選任する必要があります。これは誰でもいいわけではありません。

職業能力開発促進法の第十二条において、職業能力開発推進者の選任は、事業主の努力義務となっています。「職業能力開発推進者」について、厚生労働省では社内のリスキリングを積極的に進めるキーパーソンと位置づけています。

「職業能力開発推進者」の主な役割は以下です。

  1. 事業内における職業能力開発計画の作成と実施
  2. 企業内での従業員に対する職業能力の開発に関する相談と指導
  3. 国、都道府県、中央職業能力開発協会(各都道府県協会)との連絡等

引用:職業能力開発推進者 |厚生労働省

一部の助成金を受けるにあたってはこの「職業能力開発推進者」の選任が条件となっているため、選定することが望ましいでしょう。

日本におけるリスキリングの今後の課題

海外でも日本でも大企業では従業員に対するリスキリングが積極的に行われています。

ここからは日本における従業員に対するリスキリングにおいて、どのような課題があるのかをみていきます。

従業員のリスキリングに取り組むまえに課題を認識しておくことで、具体的な対策が立てられることもあるでしょう。

企業の人事担当者のリスキリングの理解と浸透

株式会社月刊総務が全国の総務担当者を対象に行った「リスキリングに関する調査」によると、約9割の企業がリスキリングの必要性を感じているものの、取り組んでいる企業は回答した企業の約3割にとどまっていることがわかりました。

リスキリングに取り組んでいない主な理由は、以下です。

  • 何をすればよいかわからないから
  • 実施するためのスキルやノウハウがないから
  • 経営陣の理解がないから
出典:約9割が「リスキリング」の必要性を感じているが、実際に取り組んでいる企業は3割未満

「何をすればいいのかわからない」が4割を超える結果となりました。自社の従業員にどのようなスキルを身につけて欲しいかは各企業で異なるでしょう。まずは在籍している従業員がどのようなスキルを身につけているのか、不足しているスキルは何かを洗い出す必要がありそうです。

リスキリングに取り組むにあたっては、厚生労働省が提供している「人への投資促進支援コース」の助成メニューが参考になるでしょう。

ミドルキャリア世代がリスキリングの重要性を認知できるかどうか

企業が従業員に対してリスキリングを行うにあたっては、これまでビジネスパーソンとして相応のキャリアと経験を積み上げてきた35歳~54歳の「ミドルキャリア世代」がリスキリングの重要性を理解してくれるかどうかも、重要なポイントです。

リスキリングはビジネスパーソンが変化に順応し、成長するための取組です。

しかし、なかには「能力的に劣っている部分があるために、勉強することを強要される」と感じる人がいるかもしれません。

これまでのキャリアを評価されてきたのですから、当然といえば当然です。

もしリスキリングに対して違和感をもつ従業員がいたら、まずは「リスキリング」の定義を正しく従業員に理解してもらうところから始めるといいでしょう。

その際は、以下のことを伝えることがおすすめです。

  • 「社会の変化に対応するために、働く人が身につけるべきスキルは常に変化し続ける」
  • 「あなたに自社でずっと働いてほしい」
  • 「スキルセットは常に変化させていくべき」

<個人向け>リスキリングをキャリアに生かすために必要なポイント

リスキリングの成功にはキャリア自立の考え方が重要

個人のリスキリングを成功させるためには、自らのキャリアを自分で考え、作っていく「キャリア自律」の考え方が不可欠です。これからの時代のキャリアは1社に依存するだけでは安定

企業単位でのリスキリングには、大きな資金と多大な労力、時間が必要です。

また企業が行うリスキリングは従業員に学ぶ意欲がなければ、期待する効果は得られません。

一方で個人で行うリスキリングは自らの現状の洗い出し、将来への明確な目標の少なくとも2つを行うことで、始めることができます。

会社でリスキリングが行われることを待つのではなく、自らのキャリア形成に自分で取り組むことを意識して、積極的に学ぶ姿勢が求められるでしょう。

スキル習得や資格取得をゴールにしてはいけない

個人でリスキリングを行うにあたっては単なる「スキルの習得」や「資格の取得」を目標(ゴール)に据えてはいけません。

スキルや資格はあくまでリスキリングの手段でしかないからです。

リスキリングによって得たスキルや資格を活かして仕事をし収入を得ることが、リスキリングの最終的なゴールといえます。

個人でリスキリングを行うときは「目的」と「手段」をはき違えないようにすることが肝心です。

まとめ

この記事では「リスキリング」について海外、国内の事例を含めて網羅的に解説しました。

会社としてリスキリングを行うにしても、個人でリスキリングを行うにしても、成否を分けるのはリスキリングを行う本人の「モチベーション」です。

「キャリア自律」の考え方をもって、自ら積極的にリスキリングに取り組みましょう。