デジタル技術の急激な発展に伴い、社会の中の人間の介在価値が大きく変化しています。転職者も増加を続ける今、一人ひとりが長期的なプランのもと、キャリア開発を行い、市場価値を向上させることが求められています。

また、多くの企業は自社の従業員がモチベーション高く、長期的に自社に貢献してもらえるように、キャリア開発をテーマにした研修や人事制度を取り入れていることでしょう。HRポータルサイト「日本の人事部」の調査結果によれば「キャリア開発支援」の必要性を感じている企業は全体の9割を超え、企業もその重要性を強く認識しています。

働き方の多様化に伴い、企業だけでなく従業員それぞれも自らのキャリアについて本気で考えて行動する力が必要です。

本記事では、キャリア開発の意味やメリットの説明に加え、具体的な手法、企業の導入事例についても詳しく紹介していきます。記事の後半では、キャリア開発に使える助成金制度も紹介もしているので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の監修:勝田健氏
スタートアップ企業に特化した転職エージェントに従事。大手VCと連携し、累計約100名のCxOポジションに紹介実績あり。転職エージェント歴22年。スタートアップ業界の豊富な人脈(VC・起業家・CxO)と知見が強み。個人の「WILL」をベースとしたキャリア支援実績は累計2000名以上。スタートアップ企業の採用支援経験を活かし、自らも複業(結婚相談所・採用コンサルティング・新規事業起ち上げ支援)を実践。幅広い業界・サービスのビジネスモデルを熟知。

「キャリア開発」とは

「キャリア開発」とは

キャリア開発とは「働く個人一人ひとりの職務や能力・スキルを中長期的に計画する考え方」を指す言葉です。企業の視点では、自社の従業員が長期的に自社で活躍できるようにキャリアビジョンを明確にさせ、ビジョンに基づいた新しいスキルを得られる機会を提供することも含まれます。

キャリアという言葉は中世ラテン語の「車道」を起源とし、そこから人がたどる行路や足跡、経歴などを意味する言葉となりました。人の一生における経歴は「人生キャリア」、人生のなかの職業を切り口として捉えた場合を「職業キャリア」と読んで区別するケースがあります。

参考:「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書|厚生労働省

本記事では、生涯の仕事を通じて経歴や職歴、職業能力を磨いていく過程のことを「キャリア」として捉え説明していきます。

キャリア開発は、優秀な人材の確保と定着、従業員の能力発揮による組織の活性化など、企業の永続的な成長のために必要不可欠です。

また、企業だけでなく我々個人もこれまでのキャリアを振り返り、今後のキャリアに必要となる能力や経験を考えることが重要と言えます。

キャリア開発と類似するビジネス用語

キャリア開発と似たビジネス用との意味の違いを解説します。どれもキャリア開発と関連のある知っておきたい用語です。

キャリアデザイン仕事とプライベートを含めた人生全体の設計
キャリアパス仕事の最終的な目標を定め、そこに向かって進んでいくための道筋
キャリアプラン仕事における目標を達成するための計画
キャリア形成人生や仕事のなかで経験やスキルを計画的に積んでいくプロセス

キャリアデザイン

キャリアデザインとは、仕事における今後の「目指すべき姿」や「目標」に加えて、プライベートも含めた人生全体の設計を行うことです。

仕事に限った概念の「キャリアプラン」に対し、「キャリアデザイン」は個人の人生全体の生き方を考えることが大切です。

キャリアパス

キャリアパスとは、一つの企業内で仕事における目標を定め、目標達成に向けた道筋・ステップアップの流れを指します。

「キャリアプラン」や「キャリアデザイン」と「キャリアパス」の違いは、一つの企業のなかで働き成長することを前提としている点です。キャリアパスは主に企業側が従業員の成長促進のために、人材育成の指標として掲げているケースが多く見られます。

キャリアプラン

キャリアプランは、仕事において今後やりたいことや理想の働き方の目標を設定し、そこから逆算した計画のことです。キャリアプランにおける計画には、会社での昇進や異動、転職や独立起業などが当てはまります。

プライベートも含めた設計を行う「キャリアデザイン」と異なり、「キャリアプラン」ではプライベートを含めず職業人生に絞った計画が必要です。

キャリア形成

キャリア形成とは、人生や仕事のなかで経験やスキルを計画的に身につけていくプロセスを指します。会社から与えられた仕事を日々こなすだけではなく、自身が設定した目標の達成に向けて、必要な経験やスキルを積み上げていくことが重要なポイントです。

キャリア形成についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。キャリア形成が必要とされる背景や取り組むための具体的な方法なども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

>>関連記事 「キャリア形成」とは何か | 必要とされる背景から具体的な6つのステップまで解説

企業がキャリア開発を支援する目的

個人でできるキャリア開発の手法5選

多くの企業は、自社の従業員のスキルアップの支援を通じて、キャリア開発に取り組んでいます。また、キャリア形成についての考え方を伝えることで、従業員のキャリアに対しての意識を向上させ、従業員は高いモチベーションで働けます。

ここでは、企業が従業員のキャリア開発を支援する目的を解説します。

従業員の「キャリア自律」を促すため

企業はキャリア開発を通じて、従業員のキャリア自律を促したいと考えています。

キャリア自律とは、企業から与えられた機会に頼るのではなく、個人が主体的に自身のキャリア形成に取り組むことです。キャリア自律によって、従業員は自身のキャリアプランにもとづいた目標を設定し、その目標をクリアするために積極的に行動することで、さらなる成長が期待できます。

従業員が成長すれば、企業側としても組織の活性化や生産性の向上などのメリットを得られます。

キャリア自律は、企業と従業員どちらにとっても非常に重要な考え方になるので、必ず内容を理解しておきましょう。

キャリア自律については、下記の記事で詳しく紹介しています。キャリア自律に向けた具体的な行動も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

>>関連記事 「キャリア自律とは|実現に向けた5ステップから企業事例、メリットまで網羅

「プロティアン・キャリア」を実現させるため

「プロティアン・キャリア」とは、従来のように1社に帰属する契約関係ではなく、個人と会社間の貢献と利益による短期的な契約の連続によって形成されるキャリアを指します。変化の激しい現在の社会において、個人が企業に完全に依存するわけでもなく、完全に独立するわけでもない、相互依存的な関係の中で築かれるキャリアです。

転職者が増加する今、多くの企業は自社の従業員がモチベーションを高めながらやりがいをもって働ける環境の構築を目指し、さまざまな取組を行っています。「プロティアン・キャリア」は、この課題を解決するための新たなキャリアの考え方として注目されています。

プロティアン・キャリアの主な特徴は下記の二点です。

  • 現代の社会や経済の変化に合わせて、自身の能力や働き方を柔軟に変えていく「変幻自在なキャリア」
  • 組織によってではなく、個人によって形成される「自己志向的なキャリア」

プロティアン・キャリアを実現することで、周りの評価を気にせずに仕事そのものの楽しさを実感して従業員が働けます。昇格や昇進といった組織における目標ではなく、自身が定めた目標に向けて行動することで、キャリアの行き詰まりを排除しモチベーションの維持・向上にも役立ちます。

キャリア開発の3つのメリット

企業はキャリア開発を行うことで、次の3つのメリットを得られます。ここでは、それぞれのメリットについて詳しく紹介していきます。

会社全体の生産性がアップする

キャリア開発の1つ目のメリットは、会社全体の生産性の向上です。前章でも紹介した通り、企業がキャリア開発を行うことで、従業員が主体的に考えて行動する機会が増えます。

従業員の主体性が増すことにより「会社から期待されている役割」や「成果をあげるためにどうすればよいか」など、自ら考え仕事と向き合う人材の増加につながります。

こうした人材が増えることにより、会社全体の生産性がアップし、結果的に企業の成長につながるのです。

優秀な人材の定着を図れる

積極的にキャリア開発を行っている企業は、優秀な人材の定着や確保が図れます。キャリア開発を通して転職せずとも、継続的に従業員の能力を向上させ、キャリアプランの実現を支援することで、従業員満足の向上が期待できるからです。

キャリア開発を熱心に行う企業は、求職者からの評判も高まります。新たなキャリア構築を目指す求職者に向けて「従業員のキャリアを大切にする」魅力的な企業をアピールすることで、優秀な人材の確保にも効果的です。

適材適所の人員配置ができる

キャリア開発を通して、従業員一人ひとりの強みや適性、目指すべき方向性を理解することで、適材適所の人員配置ができます。ここでのポイントは、短期的な視点ではなく中長期的な視点で捉えて、異動や人員配置を行う点です。

キャリア開発は「従業員の志向に合わせ中長期的にスキルを向上させていく制度」です。従業員それぞれの志向や適性などを考慮のうえ、将来的な活躍を見据えた異動・人員配置を行いましょう。

適材適所の人員配置を行うことで、従業員のモチベーション向上に加え潜在能力を引き出すうえでも役立ち、将来的な企業の成長につながります。

日本のキャリア開発の現状

世の中の状況が目まぐるしく変化し、将来の予測が難しい現代において、キャリア開発は昔と比べその重要度が高まっています。デジタル技術の急激な進化による業界構造改革、新型コロナウイルス感染拡大による働き方の変化などがその一例です。

現代では、時代の変化に対応できる人材が求められています。これまでの経験やスキルが通用しなくなる未来も想定したうえで、常に新たなスキルや知識を学び続ける姿勢が重要です。

2020年に日本最大のHRネットワーク「日本の人事部」が発表した調査結果によれば、約9割の企業が「キャリア開発支援の重要性」を感じていると回答しています。

従業員規模別で見ると、大企業の多くがキャリア開発を「行っている」と回答しており、従業員数5,001人以上の企業では7割以上がキャリア開発を導入しています。

注目すべきは、従業員数1,000人以下の企業の約5割が「行いたいができていない」と回答している点です。従業員数に関係なく、多くの企業がキャリア開発に注目しており、将来的にキャリア開発を行う企業がさらに増えることが推測できます。

キャリア開発の施策5選

企業が行うキャリア開発には、さまざまな制度があります。ここでは、キャリア開発の制度について5つの具体例を挙げて紹介していきます。

キャリア研修

キャリア研修は企業が従業員に対し、キャリア開発を行ううえでの「土台作り」を目的として実施されます。

研修内容の例としては、次のようなものが挙げられます。

  • 自身の強みや特性などの自己分析
  • キャリアにおける目標設定と目標達成に向けた計画作成
  • 目標達成に必要な知識やスキル獲得
  • 女性活躍推進や再雇用者支援などのテーマ別研修
  • キャリア自律を促すための年代別研修

ほかにも、研修を行う側のスキル向上を目的とした「部下育成開発支援研修」や「キャリア面談研修」なども、キャリア研修の一環として行われるケースがあります。

受講者の年齢や役職、キャリアプランなどに合わせたプログラムを組み、従業員がキャリア開発に成功できるようサポートを行うのがキャリア研修の特徴です。

キャリア面談

キャリア研修を通じて自分の目標を明確に定めても、必ずしもすべての人が計画通りに進められるわけではありません。計画通りにいかず悩む人もいれば、不安を感じる人もいます。

こうした人に対し、悩みを打ち明けさせ課題を明確にし、悩みや不安の解消に加えて目標達成に向けた道筋を示す役割を担っているのがキャリア面談です。

キャリア面談のやり方は企業によって異なりますが、代表的なものとして上司とマンツーマンで面談するものや先輩社員が面談相手のものなどが挙げられます。

企業側も従業員の不安や悩みを明確に把握できるため、キャリア開発における企業としての課題の発見と解決に取り組むことが可能です。

キャリアパスの提示

企業にはさまざまな部署や役職・役割があり、目指すキャリアによって必要なスキルや要件なども違ってきます。

従業員は自分の担当する仕事や部署などに目がいきがちなため、新たなキャリアの可能性や選択肢を把握しきれていないケースも少なくありません。

そこで必要になるのが企業から従業員に対しての「キャリアパスの提示」です。従業員それぞれの目標に対し、必要なスキルや経験を身につけるためのキャリアパスを提示し、目標達成に向けてサポートを行います。

異動・配置転換

キャリア開発において、長期育成を見据えた異動・配置転換も重要な制度です。職務経験と教育訓練を計画的に組み合わせ、従業員が希望するキャリア実現に導きます。

異動・配置転換にはいくつか種類があり、具体的には下記の制度です。

ジョブローテーション人材育成計画にもとづいて定期的に職務・職場の変更を行う戦略的な異動
社内公募制度会社側が求める職務やポストを従業員に公募し、希望する従業員の中から最適な人材を登用
社内FA制度従業員が自身の経験やスキルなどを会社にアピールし、要件・条件が見合えば希望する職種やポストに登用

ジョブローテーション

ジョブローテーションとは、従業員の能力開発を主な目的とし、育成計画にもとづいて行われる戦略的な異動のことです。

通常の人事異動は、企業の経営戦略に基づき欠員補充や組織強化などを目的として行われるケースがほとんどです。一方、ジョブローテーションは通常の人事異動の目的に加え、人材育成・能力開発をメインの目的として行われます。

多様な環境下で業務経験を積むことにより、従業員の成長はもちろん、適性や能力の見極めにも役立ち将来的な適材適所の人員配置が可能です。

社内公募制度

社内公募制度は、人員を必要とする部署の公募を従業員向けに行い、希望した従業員の中から選考し登用する異動制度です。職務内容や応募に必要な要件などを明記し従業員に告知することから、従業員が主体性をもって応募できる点が社内公募制度の特徴と言えます。

通常の人事異動のように、会社から半強制的に辞令が下るわけではなく、従業員が自ら志望するため「やりがい」や「モチベーション」の向上につながる点がメリットです。

社内公募制度で公募する職務も企業によって幅広く、短期的なプロジェクトに関わるものもあれば、海外で長期的に従事するものもあります。

社内FA制度

社内FA制度は従業員自らがこれまでの経歴や実績、スキルなどを会社に売り込み、会社が設ける採用基準をクリアすれば異動できる制度です。

社内FA制度には応募できる基準が設けられている場合があり、勤続年数や保有資格など会社が指定する要件をクリアする必要があります。

社内公募制度と同様で、従業員それぞれの主体性が求められるため、キャリアパスの実現やモチベーションの向上に期待できる制度と言えます。

副業(復業)の推進

従業員の主体性を育み、キャリアに多様性をもたせるという点において「副業(複業)の推進」も重要と言えます。

2020年にパーソルプロセス&テクノロジー株式会社が発表した調査結果によれば、副業をしたい理由として「キャリア開発に期待」する人が多いことがわかりました。これは「収入を得たい」と回答した人に次いで、二番目に多い結果となっています。

また、すでに副業を行っている人に対し副業の効果について調査したところ、約7割の人が「キャリア開発につながる」と、その効果を実感しています。

副業の推進は、従業員の自律的なキャリア開発において大きな支援策の一つです。副業経験を通じて従業員の成長が見込め、結果的に企業に貢献する人材の育成につながります。

個人でできるキャリア開発の手法5選

個人でできるキャリア開発の手法5選

前章では、企業が行うキャリア開発の制度について具体例を挙げながら紹介してきました。キャリアについては、企業だけでなく我々個人も向き合って考えていく必要があります。

ここからは、個人が考えるべきキャリア開発の手法について紹介していきます。

キャリア自律の考え方を理解する

キャリア開発の前に、キャリア自律の考え方についてしっかりと理解しておくことが大切です。

先述の通り、キャリア自律とは、企業から与えられた機会に頼るのではなく、個人が主体的に自身のキャリア開発に取り組むことです。キャリア自律によって、従業員は自身のキャリアプランにもとづいた目標を設定し、その目標をクリアするために積極的に行動することで、さらなる成長が期待できます。

企業がどれだけ有意義なキャリア開発制度を設けていても、従業員が「受け身」で受講していては、明確な効果は得られず成長にもつながりません。

キャリア開発において重要なポイントは、個人がキャリア自律の考え方を理解し主体性をもってキャリア開発に取り組むという点です。企業のキャリア開発制度は、あくまでも個人のキャリア開発を「サポートする制度」であることを、念頭に置いておきましょう。

経歴を因数分解し、強みを理解する

個人がキャリア開発を考えるうえで重要なのは「自分自身を理解する」ことです。これまでの経歴を因数分解し強みを理解する必要があります。

  • 職務と実績の振り返り
  • 自分のスキルや専門性の棚卸し
  • やりがいを感じた職務やプロジェクトの振り返り

こうした自己分析をしっかりと行うことで、今後のキャリアプランを明確に設計することが可能です。自分の現状を理解し、将来的に「やりたい仕事」や「目指したい姿」をイメージしたうえで、キャリア開発を考えていきましょう。

キャリアプランを立てる

自己分析を行い自分自身への理解度が深まったら、次にキャリアプランを組み立てます。

キャリアプランは、仕事において今後やりたいことや理想の働き方の目標を設定し、そこから逆算した計画のことです。社内でのキャリアアップだけでなく、転職や独立起業、副業(複業)なども選択肢に入れて考えます。

キャリアプランが明確、かつ具体的であればあるほど、このあとの行動プランに落とし込みやすくなり、理想の将来像を実現しやすくなります。

ライフプランを立てる

キャリアプランと同時並行で「ライフプラン」についても考え、計画を立てておきましょう。

ライフプランとは、将来的に実現したい目標をリストアップし、具体的な期限や達成基準とあわせて計画することです。仕事にフォーカスしたキャリアプランとは異なり、プライベートも含めた人生全体の計画を立てます。

具体例として下記が挙げられます。

1年後副業で月5万円の収入を達成し、各種ローン返済計画を見なおす
3年後車のローンを完済し、月々の貯金額を増やす
5年後子どもの大学卒業を機に、自分の趣味に充てる時間を増やす

ライフプラン実現を目指して、キャリアプランを考えることが大切です。

上記の具体例だと、5年後に趣味の時間を増やすことがライフプランにおける目標となるため、趣味の時間をどう確保するかが長期的な課題となります。副業をコツコツと続け独立起業を目指す、リモートワーク中心の企業に転職し通勤時間をなくすなど、キャリアに関連付けながら考えていきましょう。

逆算して、行動プランに落とし込む

ライフプラン、キャリアプランが計画できたら、実際の行動プランに落とし込みます。

どれだけ素晴らしいプランを立てても、それを実行できなければ理想のキャリアは実現できません。実行するためには行動プランが必要となるため、できるだけ具体的に計画しておくことが大切です。

また、行動することで計画通りに物事がすすまなかったり、失敗したりと挫折しそうなケースが発生します。こうした時に、計画を修正しながらめげずに継続する力が求められます。

理想のキャリアを実現するためには、失敗を恐れずに積極的に行動する姿勢が重要です。

従業員のキャリア開発に取り組むときの注意点

企業がキャリア開発に取り組む際には、注意すべきポイントがいくつかあります。ここでは、3つの注意点について詳しく見ていきましょう。

社員が主体であることを認識してもらう

キャリア開発は企業が社員に向けて取り組むことが多いですが、重要なポイントは「社員が主体であることを従業員に認識してもらう」ことです。

「本当は興味がない」「会社の指示だから仕方ない」など、従業員が受け身になってしまっては、キャリア開発が無意味なものになります。キャリア開発は「従業員が主体」であることを社員に浸透させておく必要があります。

企業のキャリア開発は、あくまで従業員のキャリアをサポートする立ち位置であることを念頭において取り組みましょう。

キャリア相談用の窓口を設置する

キャリア開発に取り組む際は、キャリア相談用の窓口を設置することも大切です。すべての従業員が、スムーズに自分の目指すべきキャリアを実現できるわけではないからです。

自発的に取り組めない人や継続的な行動ができない人など、計画通りに行動できずに不安や悩みを抱える人も少なくありません。

こうした場合に、企業に相談できる窓口があれば、従業員の不安や悩みの解消、メンタルヘルス対策として役立ちます。

個々のキャリアシートを用意する

従業員がスムーズに目指すべきキャリアを実現するためのサポートとして、個々のキャリアシートを用意しましょう。

キャリアシートとは、目標としたキャリアを実現するための計画、職歴や資格などを書き出し、計画や自身の情報を具体化・可視化するためのツールです。

キャリア開発でうまくいかない人は、目標達成に向けての方法がわからなくなったり、目標が大きすぎて迷ってしまったりするケースが見受けられます。キャリアシートを活用することで、目標や目標達成に向けた具体的な計画が把握・管理しやすくなり、効率アップやモチベーション維持にも役立ちます。

キャリアシートは自社で作成するのが望ましいですが、厚生労働省でもフォーマットが用意されているので、ぜひ活用してみてください。

企業のキャリア開発の事例3選

ここまで、キャリア開発の全体像や注意点を見てきました。ここからは、実際に行われているキャリア開発の事例を知ることで、さらに知識を深めていきましょう。

三井住友銀行

三井住友銀行は、従業員の自律的成長モデルへの転換を目指した人材育成ビジョンを展開しています。

人材育成の取り組みとしてPDCAを強く意識し、施策の振り返り・評価を継続的に行うことで、施策の機敏な軌道修正や改善を実施。また、エンゲージメントを測定して見える化するツールを導入し「職務」「自己成長」のスコアを各職場でモニタリングして、改善活動につなげる取り組みを行っています。

こうした取り組みが評価され、2020年に厚生労働省人材開発統括官表彰として「グッドキャリア企業アワード2020イノベーション賞」を受賞しました。

参考:グッドキャリア企業アワード2020イノベーション賞|厚生労働省

TIS株式会社

国内大手の総合ITサービス企業 TISは、一人ひとりの自己実現を重視したタレントマネジメントや、女性の活躍を促すキャリア支援の推進を行っています。

主な取り組みとして、全社員が自分の経験やスキル(Can)と将来展望(Will)を内省し、キャリアプランシートを作成。Willの実現に欠かせない能力形成を手厚く支援し、年間120講座以上もの社内研修や提携するベンチャー企業へ出向など、従業員のキャリア開発に力を入れています。

また、女性キャリアを支える風土の醸成を目的とし「フレックス」「テレワーク」を全社員に適用したほか、介護休暇制度など就労環境の整備にも力を入れています。

2020年には、グッドキャリア企業アワード2020大賞を受賞し、その取り組みが評価されました。

参考:グッドキャリア企業アワード2020大賞|厚生労働省

株式会社両備システムズ

情報処理業を主業務とするシステムインテグレーター両備システムズでは、キャリアの転機となる節目に全社員対象のキャリアセミナーを実施しています。

セミナーの方針を「さまざまな環境変化を理解し、自律的なキャリア形成をしていくヒントを得ること」と定め、キャリア開発を推進。全年代共通で、環境変化を認識したうえでの自己分析を行い「今後のキャリア展望シート」を作成するプログラムを導入しています。

また、より高い目標をもって仕事に向き合えるように、あえて「5年後」から記載するキャリア開発シートを導入するなど、効果的でユニークな取り組みを行っています。

参考:産労総合研究所

キャリア開発に使える助成金

厚生労働省では人材育成や雇用の促進のため、さまざまな助成金制度を設けています。ここでは、キャリア開発に使える助成金について紹介していきます。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用の労働者のキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組みを実施した事業主に対して助成するものです。ここでの非正規雇用の労働者は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者を含みます。

キャリアアップ助成金には上記のような種類があり、従業員の処遇改善を行ったケースでも適用されるものもあるので、活用を検討してみてください。

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、雇用する労働者のキャリア形成を効果的に実現するために設けられた助成金制度です。職務に関連した専門知識やスキルを修得させるための職業訓練等を計画的に実施した事業主、教育訓練休暇制度を活用した事業主などが対象となります。

人材開発支援助成金には8つのコースが設けられており、従業員の能力開発やスキル獲得のために該当する訓練を受講させた場合に適用される可能性があります。

具体的なものとして、従業員に訓練効果の高い10時間以上の訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等が助成される「特定訓練コース」。有期契約労働者等の人材育成に取り組んだ場合に助成される「特別育成訓練コース」が挙げられます。

そのほかの制度や内容、要件などについては、厚生労働省のHPを参照してみてください。

まとめ

キャリア開発とは「従業員の志向に合わせ、中長期的にスキルを向上させていく制度」のことです。企業はキャリア開発を行うことで、優秀な従業員の定着や育成、会社全体の生産性の向上など、多くのメリットを得られます。

ただし、キャリア開発は企業側の努力だけで成功するものではありません。従業員が主体的にキャリア開発に取り組み、キャリア自律についての理解を深めておかなければ、その効果は薄れてしまいます。

これからキャリア開発の導入を検討する企業は、まずは従業員に対して上記のような認知を向上させることから取り組んでいきましょう。

キャリア開発が現状うまくいっていない企業においても、従業員が受け身の姿勢になっていないかあらためて確認を行い、取り組みの中身を見なおすことも大切です。

企業と従業員、お互いのさらなる成長のため、効果的なキャリア開発を行いましょう。

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