「50代からの転職は無理」と考える人も少なくないでしょう。

厚生労働省の調査によると、50代の転職入職率は男性3%・女性5%と低く、厳しい状況と言えます。

転職が厳しい中、転職市場の状況や転職のポイントを理解しないと、転職の成功は勝ち取れません。

しかし、企業には50代ならではの経験やスキルを必要とするポジションがあり、入念な準備と対策によって転職を成功させることが可能になります。

この記事では、50代からの転職が「無理」と言われる理由や成功させるためのポイント、SNSでのリアルな意見を紹介します。

今後を見据えたキャリア自律の考え方も解説しているので、参考にしてください。

この記事の監修:勝田健氏
スタートアップ企業に特化した転職エージェントに従事。大手VCと連携し、<strong>累計約100名のCxOポジションに紹介実績あり。</strong>転職エージェント歴22年。スタートアップ業界の豊富な人脈(VC・起業家・CxO)と知見が強み。個人の「WILL」をベースとした<strong>キャリア支援実績は累計2000名以上。</strong>スタートアップ企業の採用支援経験を活かし、自らも複業(結婚相談所・採用コンサルティング・新規事業起ち上げ支援)を実践。幅広い業界・サービスのビジネスモデルを熟知。

記事の目次

なぜ「50代の転職は無理」と言われるのか|7つの理由を解説

50代では「若い世代に比べて求人が少ない」「転職活動が長くなる」「即戦力が強く求められる」など、転職活動のハードルが高く、難しさを感じやすくなります。

ここでは、具体的なデータをもとに「50代の転職は無理」と言われる7つの理由を解説していきます。

50代の転職入職率は男性3%・女性5%と低い

50代の転職者の状況を把握するため、厚生労働省の令和3年上半期雇用動向調査結果での「転職入職者の状況」を他の年代と比べて見てみましょう。

参考:令和3年上半期雇用動向調査結果「転職入職者の状況」

入職率は「全労働者に対する新たに就業した労働者の割合」であり、転職者の動向を表しています。

上のグラフを参考に、年代別の平均値をまとめました。 

 20代30代40代50代
男性10.5%7.3%3.0%2.7%
女性7.8%6.2%4.8%4.4%

50代の転職入職率は、男性が2.7%、女性が4.4%となり、20代〜40代と比べて低い数値であることがわかります。

つまり、50代で転職した人の割合は他の年代より低く、成功への道のりは平坦でないと言えるでしょう。

20〜30代の若い世代に比べて求人が少ない

50代の転職活動では、20代や30代に比べて応募できる求人が少ない現状を把握しておきましょう。

東京労働局による「関東市場圏有効求人・有効求職年齢別バランスシート」のデータをもとに、関東圏年齢別の有効求人倍率をまとめたグラフが下記です。

参考:令和4年3月分「関東市場圏有効求人・有効求職年齢別バランスシート

有効求人倍率は「求職者に対する求人数の割合」を示し、数値が低いほど求人数が少ない状況を表します。

50代が含まれる年代は34歳以下の若年層に比べて数値が低くなっており、求人数も少ない状況であると言えるでしょう。

45歳以上の年代では数値が1を下回り、求職者1人に対して求人数が1件未満であることから、50代で応募できる求人の少なさを物語っています。

50代では少ない求人に対して応募が多くなるため、競争が増して評価基準も上がり、内定が取りにくくなるのです。

転職したら年収が下がる可能性もある

50代では収入アップにこだわると、転職活動を難航させてしまう可能性があります。転職後の収入の変化について年代別に見てみましょう。

厚生労働省の令和3年上半期雇用動向調査結果「転職入職者の賃金変動状況 」を参考に、転職による収入の変化を年代別にまとめました。

 20代30代40代50代
増加44.8%40.0%37.0%27.4%
変わらない26.0%30.0%35.5%30.6%
減少28.2%30.0%26.5%41.2%
参考:令和3年上半期雇用動向調査結果「転職入職者の賃金変動状況 」

50代では、転職によって収入が減った人は全体の約41%となり、20〜40代と比較すると10%以上も高い割合になっています。

転職による収入アップを実現できる50代は3割未満にとどまり、他の年代に比べると最も少ない割合です。

50代の転職で収入アップにこだわりすぎると、成功の可能性を自ら下げることになり、転職活動が難航してしまうかもしれません。

むしろ「収入が下がる可能性の方が高い」ことを理解しておきましょう。

転職活動に期間がかかる

50代の転職活動は厳しい状況であると述べてきました。転職を成功させた人は、内定を獲得するまでにどのくらいの期間がかかったのでしょうか。

エン・ジャパン株式会社が運営する「ミドルの転職」のユーザーアンケートでは、転職活動期間について、下記のような結果が得られました。

参考: エン・ジャパン株式会社「ミドルの転職」ユーザーアンケート

50代で注目すべき点は、全体の約6割が転職活動に半年以上かかっていることです。

さらに、1年以上かかった人が約3割に達しており、20〜40代の他の年代に比べて50代は転職活動が長期化する傾向にあると言えます。

転職活動の期間が長くなると、なかなか内定が取れない焦りで精神的なストレスが溜まりやすいでしょう。

その上、現職の業務をこなしながらだと体力的にも厳しくなります。

50代の転職は、半年以上の期間がかかることを念頭において活動する必要があるのです。

企業は50代に「即戦力」を求める

企業が50代の転職者に求めるのは、知識や豊富な経験を活かした即戦力の人材です。

入社後すぐに業務に取りかかり、短期間で結果を出せるスキルや経験が必要なければ、企業はコストを押さえられる20代や30代の若手を選ぶでしょう。

あえて50代の人材を採用するのは、若手にはない即戦力性を求めているからです。

さらに、50代では自分の専門分野に関する深い知識だけでなく、業務に関わる周辺分野のスキルもチェックされ、仕事全体を俯瞰できるかどうかが問われます。

企業は、経営者のように広い視野で仕事を捉えられる人材を採用したいと思っています。

いままで培ってきたスキルや経験に加え、経営者視点ももつ即戦力として活躍できるとしっかりアピールしましょう。

転職しても社風とのミスマッチが起こりやすい

50代ともなると、いままでのキャリアの中で、独自のやり方や考え方が固まってしまいやすい傾向があります。しかし、転職先では同じメソッドが通用するとは限りません。

入社した企業の新しい社風を受け入れられないと「カルチャーが合わない」「人間関係が築けない」というミスマッチを起こしやすくなります。

50代の転職活動では、柔軟な姿勢で新しい環境に馴染む覚悟をしつつも、転職先の企業との相性を見極めるようにしましょう。

公式ホームページに記載されている企業理念などの情報だけでなく、面接でも社風を感じ取ることが重要です。

仕事内容や待遇面に問題がなかったとしても、社風や企業文化が合うかどうかを事前に確かめておきましょう。

上司が年下になる可能性がある

50代となると現職の会社では上層部のポジションにつき、上司や先輩という立場で年下の社員をリードする立場だったかもしれません。

転職後は同じ立場を維持できるとは限らず、上司が年下になる可能性があると心得ておく必要があります。

近年は年功序列の雇用制度ではなく、成果主義が主流になっています。企業から実力が評価されていれば、年齢に関係なく高いポジションが与えられるでしょう。

とくに異業種・異職種へ転職する場合は新しいスタートとなるため、年下でもスキルや経験の豊富な人がマネジメントのポジションに着くのは必然と言えます。

50代の転職では、上司や同僚の年齢に固執せずに環境を受け入れられる柔軟な姿勢が大切です。

50代で転職を成功させる5つのポイント

50代で転職を成功させた人はどのような活動をしていたのでしょうか。成功のポイントを押さえて入念に準備することで、内定を勝ち取る可能性を高められます。

ここでは、50代で転職を成功させる5つのポイントを紹介します。

50代の転職市場をリサーチする

50代の転職では、市場をリサーチして現状を把握しておく必要があります。転職市場のリサーチでは、下記の項目をチェックしておきましょう。

  • 50代という年齢のメリット・デメリット
  • 50代が応募できる求人の動向
  • 50代が挑戦しやすい業種や職種
  • 50代に求められるスキルや経験

上記を把握した上で、自分にはどのような市場価値があるかを見極めるのが大切です。

自分の市場価値は、転職サイトや転職エージェントのスカウト機能や、年収査定サービスを利用するとよいでしょう。

自分のスキルや経験がどのように求められるか、適正な年収はいくらか、などを客観的な視点で把握でき、転職活動の可能性を広げられます。

転職を成功させるには、入念な準備と事前対策が必須なため、まずは転職市場で50代が置かれている状況をよく理解する必要があるのです。

自己分析をして自身の強みを見つける

50代の転職活動では、自己分析を念入りに行うことをおすすめします。

50代ともなると、長年培ってきたスキルや経験を羅列するだけでも莫大な量になります。キャリアの棚卸しをして自己分析し、自分ならではの強みを見つけましょう。

自分の強みを見つけるために自己分析するポイントは下記です。

  • 逆境や課題を乗り越えるために工夫したこと
  • 数字で説明できる成果や実績
  • 周囲からの評価やポジティブな反応を得られたこと
  • 自分が大切にしている価値観

これらを洗い出して分析すると、過去の自分を客観的に振り返ることができ、「自分の強みは何か」「自信を持ってアピールできるスキルは何か」を見つけられるでしょう。

選考では、企業が求める人物像に自分の強みがしっかりフィットするのか、入社後どのように活躍できるかを具体的に伝えるのが有効です。

転職における条件を精査する

50代の転職では、応募できる求人が少ない中で、仕事内容や労働条件などの希望がすべて合う企業はほとんどありません。

転職を成功させるためには、希望する条件を洗い出し、何を優先するのかを精査しておきましょう。

  • 業務内容で譲れない条件
  • 年収や働き方などの待遇面で譲れない条件
  • 希望に満たなくても妥協できる条件

「譲れない条件」「妥協できる条件」を精査することで、転職で期待する条件に近い企業を見つけやすくなり、入社後のミスマッチも起きにくくなります。

募集要項を見て良さそうだと感じても、条件をよく確認してみると理想と違う内容かもしれません。

転職に求める条件を明確にしておくことで、希望に近い企業に的を絞った転職活動ができるようになります。

自分のキャリアプランを明確にする

50代の転職では、企業での就業によって何を得たいのか、という個人としての展望を持っておく必要があります。

自分の人生において50代で転職する目的が明確になっていると、志望動機として企業を納得させやすくなります。

そのためには、事前に自分のキャリアプランを描いておきましょう。

  • 人生で成し遂げたいことは何か
  • 仕事を通して何を達成したいのか
  • 5年後・10年後どのような姿でありたいか

50代となると、定年までに残された時間でどのようにキャリアを満たしていくのか、どのように生きていきたいのか、という視点でのキャリアプランが大切です。

自分の人生に対する仕事の方向性が定まっていれば、募集要項の条件だけに振り回されることなく、やりたいことに取り組める求人を見つけられるでしょう。

企業としても、候補者がキャリアプランをどのように達成しようとしているのか、という姿勢を評価します。

目的を持って転職を希望しているとアピールすることで、企業を納得させやすくなるのです。

転職エージェントのサポートを受ける

50代の転職では、転職エージェントを賢く利用するのも大切なポイントです。

転職エージェントに登録すると、キャリアアドバイザーによるカウンセリングを受けられ、利用者の希望に合わせて転職をサポートしてくれます。

カウンセリングでは、キャリアアドバイザーが利用者の状況や希望をヒアリングし、求人紹介だけでなく、転職市場の情報も提供してくれます。

50代が転職エージェントを利用するメリットは下記です。

  • 一般には公開されていない非公開求人の紹介を受けられる
  • 募集要項だけではわからない企業の情報を入手できる
  • スキルや経験を企業へ魅力的に伝えてもらえる
  • 書類添削や面接対策を受けられる
  • 自分の市場価値を把握できる

狭き門を突破しなければならない50代の転職活動では、転職エージェントのサポートを利用して、選択肢を広げ選考への準備や対策をしっかり行いましょう。

企業が50代に求めるスキルや経験

企業が50代に求めるスキルや経験

50代の転職では、若年層のように入社後に成長させてもらう姿勢ではなく、即戦力としていままでのスキルや経験を活かした企業への貢献が求められます。

企業は50代の転職者にどのようなスキルや経験を求めるのでしょうか。以下に解説していきます。

業界に特化した深い知見

企業が50代を採用するにあたって、長く業務に関わってきた中で築いた業界に関する深い知見を求めます。

20代からひとつの業界にいるとすると、50代では30年以上の経験が積み上がっています。

古くから業界の動向を知っている人材は、即戦力として成果を上げるだけでなく、深い知見を持つアドバイザーとしても評価されやすくなるでしょう。

不動産やコンサルティング業であれば、過去の出来事を踏まえ社内外の関係性を熟知した上で判断できるので、チームやクライアントへの説得力に重みを持たせられます。

企業には、目の前の業務をこなすだけでなく、部署やチームを最良の方向へリードするために、全体を俯瞰して見られる広い視野を持った人材が必要なのです。

対人折衝力

仕事上で関わる人とスムーズにやり取りできる対人スキルと、利害の駆け引きをうまく進めて関係性を築く折衝力は、50代の転職者に求められる能力です。

あらゆる立場の人と有効な人間関係を保つためには、コミュニケーションだけでなく、相手への共感や問題解決能力などの総合的なスキルとしての対人折衝力が必要です。

50代の転職では、管理職としてチームをまとめ、代表者として社内外の関係者とコミュニケーションをとる機会も多くなるでしょう。

そのような状況でも対人折衝力を発揮し、企業に利益をもたらす対応のできる50代が求められるのです。

汎用性の高いポータブルスキル

ポータブルスキルについて、厚生労働省では”業種や職種が変わっても「持ち運び可能な能力」”と定義しています。

50代となると多くの経験の中で、問題を解決する方法や円滑なコミュニケーション能力が磨かれ、どのような環境でも対応できるスキルが蓄積されているでしょう。

管理職としての転職が多くなる50代では、業務の課題を見つけ出し解決策を実行するため、メンバーと密にコミュニケーションを図る必要があります。

企業は50代の転職者に対して、専門的なスキルや経験よりも、あらゆる状況に対応できるポータブルスキルを重視する傾向が強まっています。

自分のポータブルスキルを認識することで、キャリアの選択肢を広げられるのです。

最低限のITスキル

近年ではあらゆる企業で、業務の効率化や人手不足の解消の手段としてITの導入が進められ、今後もますます広まっていくでしょう。

50代であっても、企業で利用するITサービスに対応できる最低限のITスキルを身につけておく必要があります。

現代では年齢に関係なく、メールやスケジュール管理、資料作成などさまざまな業務がPCによって行われ、近年ではオンラインでの会議もスタンダードになってきました。

急速なIT化についていくために、最低限のITスキルは必須と言えるでしょう。

大きな組織のマネジメント力

50代の転職者には、専門的なスキルや経験だけでなく、マネジメント力も求められます。

いままでに部署や部門を組織として管理した経験がある場合は、選考を有利に進められるでしょう。

人材を適材適所に配置し、円滑に業務を進めて成果を上げられるように管理できるマネジメント能力を企業は求めています

組織をマネジメントした実績があれば、50代の転職活動において大きな強みとなり、企業からの評価を高められるでしょう。

50代からでも転職しやすいおすすめの仕事

50代で転職を考える際には、現職と同じ業種や職種に進む以外にも、採用されやすい仕事を検討してもよいでしょう。ここでは、50代からでも転職しやすいおすすめの仕事を4つ紹介します。

営業職

営業職では、顧客に不快感を与えずに商談を成功に導く幅広い知識とビジネスマナーが必須です。社会人経験が長く、ビジネスマナーがすでに身についている50代は、営業職で有利と言えるでしょう。

営業ではプレゼン能力や提案力も求められるので、見やすい資料作りや相手にわかりやすい話し方などを普段から意識しておくことで、採用成功の可能性を高められるでしょう。

警備員

警備業界は他に比べて求人倍率が高く、50代でも転職しやすいと言えます。

厚生労働省の「職業別常用新規求人倍率 」によると、警備員が含まれる「保安の職業」の有効求人倍率は8.72で、他の業界と比べて最も高くなっています。

警備員は需要増加にともなう人手不足のため、求人数が多く採用されやすい状況です。

警備の仕事は資格が必要ですが、就業前に研修をおこない職務によっては数日で資格が取れるので、50代から未経験でもチャレンジしやすくなっています。

サービス業

サービス業は人手不足が進んでおり、50代も採用されやすい業界の一つです。

厚生労働省の「職業別常用新規求人倍率 」による「サービスの職業」における有効求人倍率は3.22で、保安の職業と建設・採掘の職業についで3番目の高さとなっています。

サービス業の就業はシフト制を取り入れる企業が多く、自分の都合で休みや労働時間を調整しやすいメリットがあります。

土日祝の休みや固定の労働時間にこだわらず、自由度の高い働き方を求める人にとってサービス業は働きやすい業界と言えるでしょう。

技術職

技術職は少子高齢化による労働力不足が影響し、50代のニーズも高まっています。

若年層は将来的な成長を見込めますが、充分な技術を身につけるための経験を積む期間が必要になり、即戦力という点では年長のベテラン層には追いつけません。

50代は技術が熟練されており経験も豊富なため、入社後すぐに仕事に取り掛かれる人材として企業に求められるのです。

長年培ってきた技術がある50代は、転職しやすい状況と言えます。

【リアル】50代からの転職体験談

実際に50代で転職を経験した人のリアルな体験を表形式でまとめました。ここでは下記の3つの体験談をご紹介します。

  • 元の業界に返り咲き
  • きっかけは早期退職優遇措置
  • 約3年かけた転職成功

元の業界に返り咲いた54歳の転職

50代で異業界に挑戦したものの、元の業界に帰りたいという気持ちが高まり、転職を決意した54歳・男性の体験談です。

前職営業マネージャー・管理職/流通・小売・サービス
現職営業マネージャー・管理職/人材ビジネス
応募した社数10社
転職活動期間約2ヶ月
転職理由28年勤務した前々職の人材サービス業で人の成長に関われる喜びを再認識し、人の雇用や成長支援に尽力したく、再度チャレンジすることに。
内定を獲得するまでの経緯人材サービス業の約10社は書類選考または1次面接でNG。Web媒体掲載案件で、少しでも可能性有と思えればエントリ―、エージェントと面談を繰り返した。
活動開始当初は面接自体にブランクがあり、リアルもオンラインも毎回実施後に自己で課題抽出、自身の気持ちを再確認しつつ、アウトプットの改善実施。
内定を頂けた企業へは、エージェントの推薦を受けて面接へ。2回の面接を経て、内定を頂けた。
引用:ミドルの転職「ミドルの転職体験レポート」

人生100年時代、早期退職優遇措置を機に挑んだ新天地

役職解任となり、早期退職優遇措置の提示を受けたことをきっかけに転職活動をスタートさせた55歳IT関係の体験談です。

前職ITコンサルタント/メーカー(コンピューター・通信系)
現職人材コンサルタント・コーディネーター/IT
応募した社数35社
転職活動期間約3ヶ月
転職理由役職離任を会社から言い渡されました。会社より早期退職優遇措置の提示があり、「人生100年時代。チャレンジするのは今だ!」と背中を押していただいたと感じ、具体的に転職活動を始めました。
内定を獲得するまでの経緯初めての転職活動であったため、様々な経験を総合的にアピール。職歴に書いたキーワードが独り歩きし、面接で求められている内容や水準に達しておらず、お見送りになることが多数ありました。
エージェントの方から、募集求人以外にもオープンで採用を検討する会社があるとお聞きし、申し入れをお願いしました。
今回内定をいただいた会社においても「こんな業務もある」とご提案いただきました。条件にて悩ましい部分はエージェントの方に相談したところ、真摯にご調整いただいた結果、納得できる条件を勝ち取っていただきました。
引用:ミドルの転職「ミドルの転職体験レポート」

約3年の転職活動を経て辿り着いた新規事業ポジション

長期戦を覚悟して挑んだ転職活動で、納得できる内定を獲得できた54歳コピーライターの体験談です。

前職編集・コピーライター/放送・広告・印刷・出版
現職編集・コピーライター/放送・広告・印刷・出版
応募した社数69社
転職活動期間約2年9ヶ月
転職理由業界全体が斜陽になっており、自社もご多分に漏れずという状況。回復を信じて頑張ってきたが、様々な提案を却下されるばかりか、疎んじられ、閑職に回される始末。年齢的に厳しいことは承知の上で、転職を決意した。
内定を獲得するまでの経緯前回転職した際も2年ほどかかったので、最初から長期戦を覚悟していた。
目につく転職サイトには一通りプロフィールを登録し、3ヶ月から半年程度に1回はプロフィールを更新。
応募総数69社、面接に進めたのは内定をいただいた1社のみ。業種等を限定せず納得いく転職を、と思っていたが、最終的に決まったのは同じ業界の会社だった。
大変気に入ってもらえて、通常は面接2回に適性検査という手順を踏むところ、面接1回だけで、新規部署立ち上げの責任者として内定をいただくことができた。
引用:ミドルの転職「ミドルの転職体験レポート」

「50代 転職 無理」に関するSNSの意見

50代の転職について、SNSではどのような意見が述べられているでしょうか。SNSでは現実的な意見や感想を多くみられます。ここでは「50代 転職 無理」に関する声をみていきましょう。

経験やスキルがないと転職は難しい

「転職活動を始めたけれど3ヶ月たっても決まる気配がない」と落ち込むツイートに対し、40代50代では高いスキルや経験が必要というコメントがあります。

日本企業の年功序列や終身雇用の制度の恩恵を受けてきた50代にとって、成果主義で実力が求められる昨今の転職に厳しさを感じるかもしれません。

まずは、キャリアの棚卸しで過去を振り返ってみましょう。

50代までの約30年間の経験を見つめ直すと、専門的なスキルだけでなく、問題解決能力やコミュニケーション力といったポータブルスキルも見つかるかもしれません。

キャリアの棚卸しによって、気づきにくかった自分の強みを見つけられ、自信を持ってアピールできるようになります。

仕事によっては体力的に厳しくなる

業界の人手不足により、比較的採用されやすいとされる介護職ですが、現場の実情を知ると50代以降では体力的に厳しい可能性が見えてきます。

50代から転職しやすい仕事は、事前に労働の実情をしっかり把握しておきましょう。安易に足を踏み込むと、「体力がついていかずに継続できない」という事態になりかねません。

ここでツイートされているような介護職だけでなく、警備職のように体力が必要な仕事を転職前にリサーチし、自分でもこなせる業務かどうかを把握しておきましょう。

現実を見ないと転職活動は難航する

https://twitter.com/dameoyaji007/status/1507546622934515717

「50代の転職ではいままでの価値観にこだわらず、意識を変えていく必要がある」というツイートです。

前述したように、50代の転職で収入を上げられる人が全体の3割にも満たない状況であることを理解しておかなければ、厳しい現実に突き当たるでしょう。

転職による年収アップにこだわるのではなく、50代から今後どのような人生を歩んでいきたいのか、という自分の人生感にあった仕事を考えてみるのも一つの方法です。

50代の転職市場を理解し、自分の価値観を大切にできる転職を考えましょう。

転職しても年下から学ぶ姿勢がない

https://twitter.com/BYt0Db5VEJX47fk/status/1512347461620502530

「50代の新人はプライドを保つよりも、学ぶ姿勢や謙虚さが必要だ」というツイートです。

50代の転職では、ハイクラスで高いポジションにつかない限り、上司や指導者が年下になることもあり得ます。

いままでは上の立場で年下の社員と接していたかもしれませんが、転職後も同じとは限りません。50代の転職では、そのような変化を受け入れる柔軟な姿勢が大切です。

「年下の上司やメンバーからの教えにも素直に対応できる謙虚さ」が必要だと心がけておきましょう。

50代からの転職者の割合は増えつつある

50代の転職者の割合が増えており、チャンスではあるものの、転職市場で戦えるスキルを整えておく必要性について述べたツイートです。

50代では入社後すぐに業務に取り掛かり、短期で成果を上げられる即戦力性や部署やチームをまとめられるマネジメント力が求められます。

いざ転職しようとしたときに、企業の求めるスキルが身についていない状態では、成功を勝ち取るのは難しいと言えます。

つねにスキルアップを意識しながら日々の仕事に取り組みましょう。

50代からの転職についてよくある質問

50代からの転職についてよくある質問

50代で転職活動をスタートするには、不安も多いでしょう。ここでは、50代からの転職についてよくある質問をQ&A形式でまとめました。ぜひ参考にしてください。

50代で転職を考える理由は?

厚生労働省の令和2年転職者実態調査の概況における転職理由によると、50代では下記が上位3つの理由になります。

  • 人間関係がうまくいかなかったから
  • 満足のいく仕事内容でなかったから
  • 労働条件(賃金以外)がよくなかったから

また、50代前半では「安全や衛生等の職場環境がよくなかったから」という回答が、50代後半に比べてポイントが高くなっています。

一方、50代後半では「他によい仕事があったから」が50代前半に比べてポイントが高く、業界のベテランとしてやりがいのある仕事に出会えている可能性が読み取れます。

おすすめの転職サービスは?

50代の転職活動では、募集要項に年齢制限がない求人を多く扱っている転職サービスがおすすめです。ここでは、3つの転職サービスをご紹介します。

転職サービス求人数特徴
FROM40約17,000件・40代50代に特化
・オファー率85%のスカウトサービス
・年齢で不採用になりにくい
リクルートダイレクトスカウト約97,000件・ハイクラスに特化
・スカウト型のサービス
・年収800万以上の求人多数
JACリクルートメント約12,900件・転職実績43万人
・外資系の転職にも強い
・定評のある丁寧なサポート
(2022年6月時点)

転職サービスはそれぞれに特徴があるので、複数を併用して転職活動の幅を広げましょう。以下の記事でシニア層向けの転職エージェントを紹介しています。

>> 関連記事 <40代向け>転職エージェント 23選|ランキングで紹介、活用方法も解説

転職において資格は必要?

50代の転職活動では、いままでのスキルや経験が重要視されるため、必ずしも資格が必要ではありません。

企業は50代の転職者に対して、入社後すぐに業務に取り掛かり、成果があげられる即戦力性を求めています。

資格を実力の証明とするのではなく、自分のスキルや経験がどのように企業へ貢献できるかを具体的にアピールする方が重要です。

TOEICやMBAなど、持っているとキャリアアップにつながりやすい資格はありますが、目指す場合でも「資格取得」が一番の目的にならないように注意しましょう。

志望動機の書き方がわからない

50代が志望動機を書く際には、押さえておきたいポイントがあります。

応募する企業にとって魅力的な志望動機を作成するためには、下記の項目を具体的に洗い出し、含めるようにしましょう。

  • 数字を使って自分の実績を示す
  • 自分のスキルが企業に貢献できる理由
  • 入社してからのキャリアプラン

志望動機では、企業が入社後の姿をイメージしやすい「具体性」や納得できる「根拠」を提示し、転職への明確な理由と将来の展望をしっかり伝える必要があるのです。

50代からの転職にこだわらない「キャリア自律」の考え方

キャリア自律とは「自らの意志で、自分のキャリア形成に主体的に取り組む姿勢」です。

そのような考え方で50代からのキャリアを検討する場合、以下のような方法があります。

  • 異動を検討する
  • 複業を始める
  • 個人事業主として開業する
  • 起業する

それぞれについて、詳しく紹介していきます。

今の部署にこだわらず社内で異動を検討する

転職の目的が明確になっている場合、在職中の企業で実現できないかをあらためて検討してみましょう。

転職のきっかけが現職の職場環境や人間関係による不満でないならば、退職せずに目的を達成できる部署への異動を願い出るのも一つの方法です。

自己申告制度や社内FA制度などの人事制度があれば、利用してみるとよいでしょう。

異動を申請する前には、準備も大切です。異動の承諾を得るには、明確で正当な理由と希望の部署で即戦力になれる人材であると認めてもらわなければなりません。

企業の将来性と自分のキャリアプランの親和性やどのように貢献していくのか、という考えを人事に伝えられるように、事前にしっかり準備しておくことが重要です。

キャリア自律を推進している企業は多く、自分のキャリアに主体的に取り組む姿勢を見せられれば、人事も耳を傾けてくれるでしょう。

現職の仕事と並行して副業(復業)を始める

現職を続けながら、社外で新しい活動をスタートさせる方法もあります。本業とは別に、副業(復業)によってキャリア形成を検討してもよいでしょう。

副業(復業)で得られるメリットによって、キャリアの幅を広げられます。

  • 仕事に対して主体的に取り組む姿勢が身につく
  • 新しいスキルを得ることで、将来の仕事の選択肢が増える
  • 本業とは別のコミュニティを持てる

副業(復業)は企業や上司の指示方針でなく、自分の意思にもとづいて活動するため、本業にはない視点で取り組む機会となり、自己の成長を促すのです。

自らの意思で主体的にキャリア形成を行う姿勢は、キャリア自律の考え方につながります。

50代で厳しい転職活動に踏み切る前に、副業(復業)を始めてキャリアの幅を広げる選択肢があることも理解しておきましょう。

個人事業主として開業する

50代が自分のキャリアプランへアプローチするには、現職での異動や転職で会社員を続ける以外に、個人事業主として開業する選択肢もあります。

事業の方向性としては、下記が考えられます。

  • 本業に近い業種や職種で開業する(業務代行やアドバイザーなど)
  • 趣味の分野で開業する(インストラクターやセミナー講師など)

いままで本業で関わってきたジャンルであれば、キャリアの基盤ができているため、スムーズに事業をスタートできます。

長く続けている趣味があり、その分野のネットワークがある場合もはじめやすいでしょう。

本業で培ったスキルや経験、没頭している趣味などを洗い出し、個人事業主としての開業できるかどうかの検討をおすすめします。

起業して会社を経営する

50代で今後のキャリアを考えるとき、企業に属するのではなく、起業して自分で会社経営する方法を検討してもよいでしょう。

起業では、いままでの経験やスキルを活かせる事業だけでなく、経験がなくても需要が高く、利益を追求しやすい分野への挑戦も選択できます。

未経験分野での起業は、マニュアルが整っているフランチャイズ系や、ヒューマンスキルを活かすコンサルティング業などが考えられます。

会社経営は自らの責任で意思決定を繰り返さなければならず、実際に行動しながらスキルアップしていくケースも多いでしょう。

起業はリスクゼロではありませんが、50代以降も成長していきたい人や自分の実力を試したい人は、転職以外のキャリアの選択肢として検討をおすすめします。

プロボノを通じて社外で活動する

プロボノは、自分が持っている専門知識やスキルを活かし、社会貢献につなげるボランティア活動全般や参加する専門家を指します。

専門性を活かすプロボノは、キャリアの幅を広げられる活動として認知が広がりつつあり、キャリア自律の取り組みとしても注目されているのです。

プロボノを通じて得られるメリットには下記が挙げられます。

  • 本業では得られない人脈やネットワークが作れる
  • 定年やリストラへのリスクヘッジになる
  • 社会に貢献しているという満足感を得られる

プロボノの活動では、本職では経験できないプロジェクトに関わるチャンスもあり、さらなるスキルアップや実績の構築にもつながります。

50代では、プロボノが新たな活躍の場を見出せる機会となり、今後のキャリアの可能性を広げられるため、人生100年時代に備える活動となるでしょう。

まとめ

50代の転職活動では「無理」と言われる状況を理解し、成功させるポイントを押さえて行動することが重要になります。

40代では企業から求められるスキルが高くなるため、日常の業務でもスキルアップを意識して取り組んでおくとよいでしょう。

自分のキャリアに向き合い、自らの意思で積極的に取り組む姿勢が転職の成功につながります。

実際に50代で転職した人の体験談やSNSでのリアルな声からは、難関ではあるものの、入念な準備と対策によって内定を勝ち取れるとわかりました。

50代からの転職でよくある質問についてもQ&A形式で回答しているので、不安がある方は参考にしてください。

厳しい50代の転職ですが、対策をしっかり練って成功させましょう。